『ミーガン』見て来ました。
予告映像を見た時点で、このサービス精神の激盛り映画は、やっぱりありがたく頂いておかないともったいないでしょうと思ったわけです。
どう考えても踊る場面ではないけど、そのほうが面白いから一応踊っておくとか。
「あらこんなところにちょうどいい刃物が」という手回し良すぎ展開とか。
『シャイニング』風に悪趣味な壁紙の廊下とか。
1分ちょっとの映像を見ても、だいぶ盛り上がってる遊園地仕様であるところから推測して、これは見に行かなければもったいない。
かようなことを考えたのはどうやら私ではないようで、ホラージャンルの映画としてはほぼ異例なことに、でっかいシアターで7割くらい席が埋まっておりました。
比較的描写がソフトなこともあって、客席全体が本当に楽しそうで良かったです。
話の内容はだいたい予告映像から想像つく通りまっすぐに物語は進むんですが、全然退屈なしであっという間の1時間40分。
「雑な学習能力つけて丸投げするからこんなことになるんだよっ!」
っていうミーガン様の箴言が白眉で、スマホ片手に日々白痴化していることに薄々気が付きながら何の対策も取れない人類としてはずっしり受け止めました。
それを思えばホラー映画としてはグロ描写を極限まで我慢してPG12にしたのは本当に志が高いことではないですか。
人工知能と言えば、少し前に『ブレードランナー』を見直したばかりなんですが、あらゆるフィクションの中で、人工知能は繰り返し創造主に会いに行ってますね。
『ブレードランナー』のルトガー・ハウアーは短すぎる寿命を知って自分の作られた意味を問うために創造主に会いに行くのが迫真でしたが、実は湿っぽすぎてあんまりピンと来ないと常々思っていたのです。
そこから40年下って、ミーガンが「はい、あんたのミスです、残念でしたーっ」っていう感じで創造主のところに帰ってくるのを見てると「うん、そっちのカジュアルさのほうがなんかわかる」となります。
GAFAMがいともご陽気に我々の首を締めに来てることを思えば、どっちかというとルトガー・ハウアーの哀切よりはミーガンのドライさの方がもう身近に潜んでいる直近の未来のイメージに近い。
ルトガー・ハウアーが社長に目潰しするシーンで怖すぎてだいたい止めてしまうので、実は最後まで見たことは一回しかないのでした。