晴天の霹靂

びっくりしました

『ナポレオン』~大失敗すると子どもを集めて言い訳する癖

 

『ナポレオン』観てきました。

映画館で映画観る楽しみってこういうのだよなあ、と思ったもんです。


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日本版予告なんか観ると「英雄か、悪魔か」とかコピー付けてあるから、ナポレオン・ボナパルトの人となりに肉薄した映画なんじゃないかという気にうっかりなりますが、特に何にも肉薄しませんでした。

リドリー・スコット監督の「この完璧な戦争シーンを見せたい!」という気持ちと「この完璧な戴冠式を見せたい!」という気持ちと「この完璧なホアキン・フェニックスの表情を見せたい!」という気持ちを、繋いで繋いで一本になった映画です。

最初から最後まで全部贅沢な絵面であると同時に、話としては散漫でもあるので、なんなら途中で別の考え事とかしてた部分もあるんですが、じゃあ退屈だったのかと言えばそんなことはなくって、「映画って本当に素晴らしいものですね」って思いながらぼーっと観ておりました。なんせかっこいい。かっこいい中のホアキン・フェニックスの完璧な間抜け面が映える。

 

政治的に失脚した人の妻だから与しやすしと見て結婚したジョセフィーヌ相手に、牛の種付けみたいな生活をしたうえ、世継ぎが生まれないからと離婚して、それでもまだ「母親みたいな気持ちで自分のこと思ってくれてるはず」なんてせっせと甘えるてたら、先に逝かれて馬鹿みたいな手紙が持ち出され、黒歴史大流出。SNSがなくても炎上しがちな男ナポレオンなのです。ここまでダサいナポレオンが描かれたというのも、ちょっとした事件なんじゃないかしら。

 

求心力のある強いストーリーがあるわけではないので、家で配信サイトで見ていたらなんとなく集中力が続かなくて途中でやめてしまいかねないような映画であるようにも感じましたが、こういう絵巻物みたいな作品をゆっくりじっくり映画館で見るの、大変に贅沢だなあ、と思った次第でした。