晴天の霹靂

びっくりしました

入浴中のところ失礼いたします

近道をしようと思って未舗装の細い路地にわざわざ入っていったら

眼の前の水たまりでゴジュウカラが行水をしているので通れない。



まちなかで見かけるにしてはずいぶん警戒心の少ないゴジュウカラで、直ぐそばまで歩いていってもこちらを気にかけずリフレッシュに没頭しているのだ。

中に浅瀬と深みがあるのを利用して、いったん肩まで浸かり、整ったら今度は浅瀬に移動して半身浴に移行したり、ずいぶんとポジティブに水たまりを堪能している。

この夏は暑かったからね。アタシもずいぶん水風呂ばかり入ったもんだ。

共感して観察しはじめると、いよいよ水しぶきを上げてみせたりする。見せつけているのか。

 

カラ類は互いに仲がよく、鳴き声には単語も文法もあって高度なやりとりをしているというから、一羽が長風呂のヨロコビを発明したらこのあたりの小鳥の間にいっせいに長風呂カルチャーが広がるのも考えられないことではない。

「そうなったらちょっとおもしろいな」

人間が飽きず鳥の公衆浴場を妄想をはじめたころを見計らって、さすがにゴジュウカラも「そろそろお先に」という感じでグレーの背中をふるふるとして上がっていった。

ああそうそう。こちらも先を急いで近道してきたんだった。

小鳥界での長風呂の流行は歓迎するけど、鳥の水浴びというのは人間の遅刻の言い訳として通用するだろうかね。

 

 

シジュウカラさんたちの会話にはちゃんと文法がある、っていう話が、なんだか好きでねえ。