晴天の霹靂

びっくりしました

年末年始つれづれ

 

『バグダットカフェ』

バタバタしつつおせち料理はなんとか仕上げ、100均の小さい重箱に詰め、しかるべきところに配達。

「季節感の問題だからなんとなく紅白は見る」と思っていたが『バグダット・カフェ』が年内限定の無料公開だと知った瞬間「紅白とか見てる場合じゃないな」に切り替わり、年越しバグダットカフェ鑑賞。

なんの映画か、って言われてもよくわからないんだけど、カフェなのにコーヒーマシンがずっと壊れてる。あるあるー。

砂漠の真ん中で援軍来たらず。八方詰んだまま生活は続いてるし、みんなこの状態を普通だと思ってるし。そんな中、ドイツから夫と喧嘩した太った女がやってくる、と。

いきなり意味不明なタイミングでスローモーションになるし、カメラ斜めになるし。馬鹿っぽいほど綺麗な風景だし、最高。

なんでバグダッドとか、黄色い魔法瓶はなに、とか、なんでドイツの太った女?とかはもちろん分からん。誰かが良い批評とか書いてるなら読みたい。面白かったー。

 

 

料理

おせちは、毎年薄味になりがちなので、今年は心を強く持って濃いめにしたら、今度は喉が渇く。日をおいてどんどん味が染みていくようなものを薄味にしておくってのは「わりと理にかなってたんだなあ」と思いつつ食す。

今年はチキンロールが結構美味しかったな。あと、雑煮はいつも美味い。

 

 

百人一首

年始からアレクサ相手に百人一首取り。年末にちょこちょこ『百一』を見てたせいで例年より結構取れて楽しい。

rokusuke7korobi.hatenablog.com

 

本屋

正月のうちに本屋へ行くのは昨年やって結構楽しかったので今年も決行。

たくさんの本の間を何時間もウロウロ散歩することで、「今年はこういう感じの一年で行こうかなあ」みたいことがぼんやりイメージつくようなところもあって、いいのだ。

書店員さんも読書好きばかりとは限らないので近頃はまともな本とトンデモ本がいっしょくたに並んでいたりする。

「中学校で性教育の授業をはじめた結果、娘が自分は男だと思うようになった。昔はそんな人はいなかったのに最近は感染症のようにそういうケースが激増している」というようなヘイト本が面陳になっていたので、そっと棚差しに戻し、かわりにちゃんとした研究者が書いた類書を面陳にしておくなど。

正月に本屋へ行くのはすごく楽しいので続けたい。

 

 

『現代短歌版百人一首 花々は色あせるのね』

めっきり電子書籍ばかり読むようになってるところ、わざわざ紙で買うときは「紙でなければ意味のないものを選びたい」という欲求もあって、書店ではやっぱり詩の本なぞを熱心に見る。また百人一首のバージョン違いを買った。

百人一首の「現代語訳」ってたいてい読んでも何が面白いんだかほぼわからないけれど、7と5のリズムの中で詠みなおしてあると結構「おおなるほど!」と納得したりする。

やっぱり詩の魂って、意味の中にだけ宿ってるもんでもないようだ。

忘れじの行く末まではかたければ今日をかぎりの命ともがな

「いつまでも忘れない」は信じない今日で命を終わらせたいの

 

若くて健康な人の言う「ポックリ逝きたい」に対しては

「うるせえ、自分の傲慢を吹聴して回るんじゃねえ」

としか私は思わないんだけど、結婚か羽振りの良い男に気に入られることしかキャリアパスのなかった時代の女が、そのゲームのルールの中でわざわざ男に聞こえるところで言う「ポックリ逝きたい」は諦念というか皮肉というか、とにかくすごい。千年経ってもビリビリくるし、かの定家だって別に「恋愛体質の女ってかわいいねえ」と思って採録したわけじゃないんだろう。

 

第74回紅白歌合戦
www.nhk-ondemand.jp

晦日にはほとんど見てないが、「季節感なので」明けてからなんやかんややりながら結局観た。

「ボーダーレス、ボーダーレス」言いながら、司会がおじさんと若い美女ふたりであることに誰も疑問を持たなかったのだとしたら制作の現場はほぼおじさんの意見だけで作ったんだろうなあ、という感想。

いくら個々のパフォーマンスがかっこよくても枠をおじさんだけで作ってる限り、紅白そのものは永遠に古くてダサいのではあるまいか。

YOASOBIの『アイドル』のダンスパフォーマンスは素晴らしくて、ジャニーズって日本のアイドルカルチャーをむしろ停滞させてきただけだんじゃないか、という感慨を持つ。

 

『フォール』

FALL/フォール

FALL/フォール

  • グレイス・キャロライン・カリー
Amazon

「正月は変な映画を観よう」という意識はいつも持っているので今年は気になっていたものの観に行けなかった『フォール』にした。

高さ600mの高さの塔に登っちゃったユーチューバーが、降りられなくなる話である。そこまでは公開時の予告編ですでに知っていた。ありがちっぽい設定ではあるものの「降りられない」だけで2時間保たすことができるのか、と気になっていたものだ。

これが実になかなかうまくやってて面白い。そもそも高所恐怖症の人はだいぶ厳しいだろう、という程度に「高いところを怖く撮る」ということに対する情熱がすごい。かつ「ああ、そう来たか。やられたっ」という工夫があり全然退屈しない。

エンドロールの歌までじわじわと来る怖さがあるし、ちゃんと歌詞の字幕もついてるので、じっくり見て見応えあり。正月をぴりっとさせるには賢明なチョイス。