晴天の霹靂

びっくりしました

普通に猫と喋る時

近頃うっかりしていると、You Tube畑正憲氏の動画がよく表示される。

昔のテレビの切り抜きだったりするので、ずいぶん画質は良くないが、それでもついつい目がいく狂気の絵面だ。

ヒグマの子と素手で戦っていたり、アナコンダに締められてボキボキ鳴ってたり、力いっぱい棒で子象を殴っていたり、およそ正気の大人の所業とも思われない様子に驚いて再生してみると、まるで何も問題などないかのように「感動的な魂と魂のふれあい」風味のアナウンスがのせてある。

まあSNSのない時代の純朴なお茶の間くらいにならするっと入り込めなくもない体裁にはかろうじてなっているような。いや、なっていないような。

 

動物王国ならぬ我が家には猫が一匹おり、これが最近また富によく喋る。

従前は二匹いたので、猫組としても人間に話しかけるよりは猫同士でコミュニケーションを取っているほうが多かったが、人ひとり猫ひとりになると、しみじみお互いよく喋るようになる。

人間が音声言語によるコミュニケーションを好むのは猫のほうでもだんだんわかってくるとみえ、「ぐー」とか「んにゃ」とか「むっ」とか、人間向けのボキャブラリーが年々増えていくのは面白い。

そうなるとこちらも張り切って色々話をしながら遊ぶので、傍目から見ると実にどうかしている風景である。

夜毎、カーテンの影でランランと目を光らせて構われるのを待つ猫に向かって

「あらあ、うちの猫ちゃんどこへ行ったのかしらー」

などと白々しいことを言って平気な自分を客観視するに、このまま私の体力と好奇心をどんどん肥大化させていって、同時に猫を猛獣化していけば、しかるにその果てがムツゴロウさんになるんだろうか、とちょっと思ってみたりはする。

いや、でも、そう簡単にああはならないか。

 

人間向けの言語を習得しつつあるうちの猛獣(油断しすぎ)