北海道でもようやく公開になった『ロッキーVSドラゴ』を見てきましたよ。
いやあ、楽しかったけど、なんだったんだ。
誰でも知ってる話を何十年もたってからスタローンが一人で再編集したっていうから、こちらも色々と予断を持って見に行くわけです。
エキシビジョンとはいえアポロがなぜあそこまでドラゴをなめてかかっていたのか謎だったからそこらへん明らかになるのかしら、とか。
最後のロッキーの唐突な演説があまりにも意味不明だったからもうちょっと観客に伝わるようにするのかしら、とか。
結果、どっちでもなかったので「おーっとお?」となりました。
色々うろおぼえながら、オリジナル版とどこが変わったのか思い出すに、印象では「アポロ大好き」と「ポーリー大好き」部分が増量しておりました。
「あえて今編集し直した意味は」みたいな方面で考えると大いなる謎が残るけど、ロッキーの良さという面では増えたのではないだろうか。
やはり男同士でわっしょいわっしょい愛し合ってこそのロッキー。
とくにポーリーが「俺の方が似合う」とかわけのわからないことを言ってエイドリアンの耳あてを盗んできちゃうところとか最高でした。
異国ロシアでの訓練でエイドリアンがいなくて寂しいだろうという心遣いなのか、何も考えずに思いつきで振る舞ってるのかわからないところがポーリーの素晴らしさ。
「ロッキーってエイドリアンを妻にするために結婚したんじゃなくて、ポーリーと兄弟になるために結婚したんじゃないだろうか」
とすら思う胸熱シーンと言えましょう。
もっとも気になるのは最後の謎演説ではあるのですが、その前の、試合中にロシアの観衆がロッキーコールに包まれてしまうところも本当にわけがわからないですね。
「なんでだよ、ドラゴめっちゃ頑張ってるじゃん!」
と、大変気の毒な気持ちになります。
なんだかんだで試合はギリ勝って、ロッキーったら調子良く
「俺たちは殺し合ったけど、200万人が殺し合うよりいい。みんな変われるんだ」
とか謎の演説、満場のロッキーコールを背にドラゴに声もかけないまま星条旗を身体にかけて退場していくロッキーに
「ちょっと!」
とツッコミの声が出そうになることです。
そこはどう考えてもロシア国旗を身体にかけてドラゴに声かけてやっとちょっと意味が通るかもしれない演説だったのではないのか。
それで映画が面白くなるかどうかは別として、あまりにも自分だけ気持ちよくなって言い逃げするロッキーには「……文脈?」という気持ちだけが残るのでありました。
本当に、そういうところだぞ。
まあそうは言っても概ね楽しい映画なのは間違いないのです。
映画館からの帰りはいつもの上り坂。しかも向かい風。レイトショーだったので自転車の照明まで点灯してるとあって道の半ばですでに太ももがパンパンになってくるわけですが、ロッキー見た直後だけはさすがに無意味に頑張れるものですね。
虎の目をして気持ちよく立ち漕ぎで帰ってくる秋の夜道でありました。