晴天の霹靂

びっくりしました

参院選読書『国対委員長』 ~ハーゲンダッツvsガリガリ君

参院選ですねえ。

2021年の衆院選のときは、私の選挙区は候補者三人だったので

「全候補者の街頭演説聞きに行ってやるっ」

と心に決め、毎日SNSを見張って、「明日5時から〇〇スーパーの前」なんていう情報を細かく拾っては自転車走らせて演説聞いて回ったものです。

やっぱり、生で演説聞くと明らかに情報量が多くて、そりゃあおもしろい選挙になったものです。

候補者のキャラクターが浮かび上がるのもさることながら、所属する党のキャラクターも如実に現れるは興味深かった。

「ああ、金持ちおじさんの党だな」とか「ここはよさこい候補者枠だな」とか「悪口は言うが特にやりたいことはないんだな」とか、雰囲気を見てるとスローガンには現れないいろんなことが具体的に伝わってくるには感動しました。

政策の内容を頑張って全部理解しようとしなくても、誰が自分の利益代表者に最も近いのか、見た目でほぼわかる。

 

そんなわけで参院選も「今回はどれくらい街頭演説聞けるかなあ」と楽しみにしていたものですが、公示されてびっくり。

選挙区が北海道全域という困難さに加えて、候補者が12人いるではないですか。

SNSだけでもそんなには追いきれないし、あからさまに選挙運動しない方針の謎の政党もいくつもあるので、わりとどうしていいのかわからない。

「たまたまどこかで街頭演説してるのを見かけたらそのときは足を止めて聞く」

という程度のことしかできずに、今のところちゃんと話が聞けたのは駅前で見かけた共産党候補のみ、という寂しい状況なのです。

あとは駆け抜けていく山谷えり子カーを見かけはしたものの、結局名前と「家族の絆」しか聞き取れなかった。さすがです。

 

ネット上にはいくつか党首討論も上がっていたりもするけれど、いまひとつ楽しくない。

このまま選挙が終わってしまうのも惜しいしなあ、と思っていたところで今回の比例区候補の一人の著作を、少し前に買ったまま読んでいなかったのを思い出して読んでおりました。

これがまた、とても面白かったのです。

 

最近「今後は”批判ばかり”と言われないように頑張る」とか言い出した挙げ句、いるんだかいないんだか全然わからなくなってしまった例の野党が、まだ元気だったころの本です。

読みながら

「あの頃はなんて国会が面白かったものだろう」

と、ずいぶんしみじみ思い出しました。

森加計桜やら、統計不正やら、文書改ざんやら、裁量労働制やら、リアルタイムでニュースを見ていたときは

「おやおや、民主主義はもう死んだのかね?」

というくらいの惨憺たる気持ちにはなったものですが、一方で毎日国会中継を楽しみにしてるようなところもありました。

ひどすぎて楽しかった、怖いものみたさ国会。

 

あれは、起こっている事象が漫画みたいにひどかったから、たまたま面白くなっちゃったわけではなくて、しっかり響くツッコミを入れるために腹をくくった有能な裏回しがいたから、ちゃんと面白かったのですね。

国対委員長が有能じゃないと、満足な会期も取れない可能性があるなんて、この本でも読むまで知らなかった。

なんとなく、いちいち調整しなくても会期なんて自動的にすーっと決まってるような気がしていた(っていうか、それほどまで国会を開くのが嫌な立法府ってのをそもそもあまり考えたことがなかった)

交渉はまずそんな地味なところからはじまり、与野党の質問時間の割合を交渉するためにはあれほどの老体二階俊博を軟禁することも辞さない、ってのはもう本当に面白い話。

 

人に言える話言えない話たくさんあるであろう国会運営のなかで出してくる細かなエピソードもまた面白い。

与党議員会館の冷凍庫にはハーゲンダッツが入ってるが、野党の議員会館の冷凍庫に入ってるのはガリガリ君だから、打ち合わせが長引くと自民党ハーゲンダッツを3つ食べてきた、なんてことも書いてあるんです。

与党と野党の金回りにだいぶ差があるのは選挙運動見ててもすぐわかることですが、ハーゲンダッツガリガリ君は、リアリティあっていいですね。

ちょっとやそっとの資金源ではハーゲンダッツ3つ以上の常備は難しい。

 

まあ、そんなわけでいろんな党があって色々主張あるのを広報なんかで読み比べている日々ではありますが、

私としては「国会を面白くしてくれそうな人」を送り込みたいというのは一個あるな、と思ったのでした。