晴天の霹靂

びっくりしました

白いポッカの管理人

どうにも日本語の通じない管理会社の、愚にもつかない漏水案件にかれこれ10ヶ月ほどもつきあわされている。

そろそろ疲れてきているので、「話せばわかるんじゃないか路線」を放棄、思いつく限りいろんな見積もりをかき集めて外堀を固め、最終的な選択だけ迫る作戦へと舵を切った。

水道業者やら不動産屋やら引越し業者やら連日いろんなアポを取ってはとりどりの見積もりを乱射してもらっており、もはや管理会社よりだいぶ働いているので、管理費返還してもらうどこかこっちでお給料もらいたい日々である。

明らかに私の方が仕事できるだろ。

 

今日も今日とて、近隣の賃貸物件の内覧に行く。

私が最近学んだことによると、古い集合住宅に長くいる管理人さんには趣のある人が多いのである。

内覧予約の電話を入れた際に

「場所、わかりますか」

ときかれたので

「えーっと、行ったことはないんですが」

とあいまいに答えると

「白いポッカの自動販売がありますから、その横です」

と説明してくださった。

「なるほど。道中目に入るすべての自販機をシラミ潰しにあたって、白くてポッカのものがあれば、そこがゴールですね!」

と、素直に納得するわけがないではないの。

普通目印というのは目標よりも目に付きやすいものを挙げるんじゃないかしら、という疑問を振り払いながら、ああ私好みの管理人さんがいる、と思ったことである。

説明下手にもほどがあるが、とにかく親切な人だ。

そしてどうやら「管理人さん」という専門職に大切な技能は、むしろそういうところであるらしいのだ。

 

結局道に迷いながら現地に到着すると、だいたい予想通りの人あたり良い管理人さんが近隣の地図をくれた。

「現在地がここですから、ちょっと景色みながらこちら歩いていってみてください」

なんてわざわざ赤ペンで印をつけながらおすすめ散歩道まで教えてくれる、その現在地がまず間違えているところがエライ。

そろそろ暑くなってきた日差しの中、行けども行けどもなにもないので、結局グーグルマップで検索して知らぬ土地を回れ右することになるのだ。

「この部屋とこの部屋が空室です」

と教えてくれた部屋番号も、ご丁寧に間違えているのであやうく人様の家にあがりこみかねない事態に。

とにかく管理人さん込みで愉快な物件だし、景色は良くて私好みだ。

 

まあこれはこれで楽しそうだし、引っ越しということになっても一応なんとかなりそうではある(管理会社コノヤロー)

そんなことを思いつつ、続く作戦を着々と練り上げる日々が続く。