最近、巷で色々と話題の『人新世の「資本論」』、大変おもしろかったです。
こういう本はアマゾンのレビュー欄が大変おもしろいですよね。
「人新世」っていう、別ジャンル(地質学)の新しい言葉に、「資本論」っていう業の深い言葉がくっついてるので、タイトルだけで十分危険な予感はします。
レビューでは「賛否両論」のうちの「否」のほうの熱量がすごくて、あんまりうっかり「おもしろかった」とか言ってしまうと出会い頭の事故に巻き込まれて死んでしまうのではないかと不安がよぎるのだけども、最近読んだ本の中でも超おもしろかったのだから、仕方ない。
20年くらい前から天気の良い日に森なぞを散歩しながら思ってはいたのです。
いい陽射しとか、森林とか、空気とか、人生の中で最も深い恵みにあたるものってだいたいタダだし、むしろいくら金を積んでも買えるものじゃないのだが、これが「人生の最も豊かな部分」であるとすれば、私は朝から晩まで毎日一体なにをしているのだろうか?
この疑問は当然、幼稚で無知でトンチンカンなんだろうと予感があったので、みんなも同じようなことを思ってるんじゃないかとうっすら疑いながらも、言語化しないようにちゃんと自重はした。
それがこの本のおかげで
「『市場経済にそぐわない公共財産をコモンと言い、このコモンの部分が増えるほど社会全体としては豊かになる』という言い方があったんだ!」
ということが判明。
そうそうそれそれ、私がいいたかったやつ。
そこだけとっても、もう十分に面白い本だった。
あとは、常日頃から「世界中の資産家の資産が一気にゼロになるような特殊な磁気嵐って起こらないものかなあ」というような愚にもつかない妄想で楽しむ癖のある私としては、「必要なものを生産したらもう十分だから、過剰な労働を作り出すのをやめて家に帰って人生を楽しもう」というようなことを言ってくれる人を見つけるとだいたいすごく好きになっちゃう傾向がある。
わくわくする本であった。
ちなみに森林の中を散歩しながら「いったい朝から晩まで私ってなにやってるんだろう?」と思いはじめた頃に熱心に読んでた本。
「朝から晩までみんななにやってんの?」みたいなことが書いてある。