晴天の霹靂

びっくりしました

You Tubeで自分の選挙区を検索してみる

そんなこんなで「自分の選挙区をいかにして楽しめるのか週間」開幕中です。

思い起こせば今の住所に引っ越したのが二年前なので、ここは初めての選挙区。

さしあたって現代人らしく、まずYou Tubeで自分の選挙区を検索してみると、ローカルテレビ局が作った各候補者の初鳴きがアップされているではないですか。

これが、思ったよりだいぶ面白い。

 

この人はポスター写りのいいダンディおじさんだけど演説はまったく頭に入らない立板流水方式なのか、と思ったり。

他の候補者がスーツ着てる中一人だけトレーナー姿だと思ったら二世議員で、「どうせ世襲」呼ばわりされるのを気にしてるんじゃないかしらと推測したり。

街宣車じゃなくわざわざママチャリで走ってる人がいると思ったら落下傘候補で、地元密着を強調したい心理なのかなと思ったり。

「野党」「与党」「ゆ党」としてばかりでなくて「いろんな事情の中で必死こいてる個人」として見るとぐっと情報量が増えるので、なるほどこれは実際見に行くもっとおもしろいんだろうなという予感は十分ありました。

どこかの街頭でいずれかの候補が立って喋ってたら今回こそはちょっと足を止めてみようかしら。

 

また選挙区にはその選挙区なりの積み重ねってものもありますから、動画検索すると過去の選挙の街宣がぞろぞろ出てきて、これがまあ面白い。

前々回2014年、第二次安倍改造内閣のときに当時官房長官だった菅さんが自民党系候補の応援に来ている映像が出てきたのです。

一体これは誰なのかなと思うほど、ちゃんと声も出てるし、目の力もあるし、何も見ないで自分の言葉で喋れてるし、やり手政治家っぽいではないか。

……まさか数年であんなに尾羽打ち枯らすとは未来はわからんもんですね。

 

当時はアベノミクスを絶賛売り出し中で、色々と良さそうな統計データを探し出してきては「とにかく景気は回復したっ」と全国を言いくるめて回っていた時期。

東京あたりで株の運用でもしてそうなエリート会社員に向かっていうならまだしも、北海道でそこらへん歩いてる人に

「ね、景気いいでしょっ!」

っていうのは、どう思い出しても無理ありすぎなのですが、全然意に介さない様子がむしろちょっと面白いのです。

あんまり自信ありげに何度も言い切るので、

「これ現場でリアルタイムで聞いていたらうっかりそんな気になっちゃうかもしれないな」

と思うくらいでした。

断言して何回も繰り返せば、群衆は何でも信じるってル・ボンも言ってた。

 

そんなふうにアベノミクスの宣伝に頑張ってる「最強の官房長官(当時)」なのですが、とにかく12月の北海道、寒風吹きすさぶ選挙カーの上、あんまり寒いので何回繰り返しても「アベノミクス」がちゃんと言えないところがまた、うまいだけの演説よりもかえって良くってね。

これは本当に面白いもんだなあ、と思いました。

 

一方、同じ選挙戦で野党系候補のところに応援に来た当時民主党の党首は、開口一番

「生活苦しいでしょう?」

っていう話からはじめているのです。

これが本当に同じ時期に同じ世界を見ているはずの人がした演説なんだものなあ、と、振り返って改めて感心するところでした。

そういう意味ではあの頃に比べると今の方が、わりとどの候補者も言ってることの骨子は似かよってきた感がありました。

 

こういう手軽に使えるアーカイブがしっかり残っていてすぐ比較できるし、過去の振り返りもできるというのはデジタル時代らしいおもしろさ。

足元の選挙を面白がるのに「まず動画検索から」というのは、とりあえず簡単なわりに予想以上の娯楽性があって、なかなか良ろしいのじゃないかと思ったのでした。