年末に向かって食材はどうせ高くなっていくので、年の瀬に使うとわかっていて日持ちのするものはそろそろ買い始めている。
たけのこの水煮やら、こんにゃくやら、栗の甘露煮やら。
改めて「おせち」を作るつもりはないとは言っても、元旦からお米を炊くというのもなんとなく妙な気持ちになるし、面倒でもあるので、そういうことならまあ三が日くらいは保つ「作り置き」を年末までにやっておこう、という話になる。
バランスやら日持ちやら考えて作り置きしていくと、結局簡単なものばかりとはいえ、それなりにおせちっぽいものを、なんだか毎年作っている。
タッパーに入ってるからわけがわからないだけで、重に詰めてあれば結構それっぽいはずだ。
そうは言っても、餅が主食の下戸の正月。
数の子やら昆布巻きやら、酒肴っぽいものにはあまり興味をもたないまま来たが、今年は不意に一人暮らしになってしまった父が居る。
あの家にも多少の膳は届けようかという話になると、行きがかり上酒飲みの好きそうなものも、作るのか、今年は。私が。
あまりにもいつものんべんだらりとしているので、ほとんど誰にも信じてもらえないが、年末は私だってだいぶ忙しいのである。
どのあたりまでサービス精神を発揮したものやら、ここまできてまるきりわからなくなってしまったものであるが、
一体、やるのか、昆布巻きを。
毎年適当にのらくら作ってきてこれまで不便もなかったが、ここに来ておせちの本を買うことになるとは思いもしない人生であった。
こういう一見面倒くさそうなものを作ること自体はほんとはちょっと好きである。