初雪が降ったのが先週の水曜日。
初冬らしいぼたん雪が大らかにのしのし降るもんだと思っていたら、立冬過ぎて週が変わった途端、今度は寒さに引き千切られたような細かな雪が風に舞って縦に横にと縦横に降り、いかにも冬になった。
重く暗い色の空に、雷まで鳴るのを猫はひどく嫌がって、今日はこたつから容易に出てこない。
久しぶりに業務スーパーに行ったらオートミールがずいぶん安いのを見つけた。
カナダ産のものが1キロで399円。
それをザラザラとボウルに入れて、上から牛乳をたっぷり注ぎ、レンジで四分。
食べた瞬間に懐かしい味がして、そういえば自炊を始めたころにわりとよく食べていたことを思い出した。
「外国の児童文学によく出てくるあれだっ!」
という想いに支えられて、ローラ・インガルスになったり、オリバー・ツイストになったり、メアリー・レノックスになったりしながら食べた、要するに潰した麦の粥である。
美味しいと表現するものかどうかはさほど自信が持てないものの、やっぱり幼い頃から親しんだ本の中の主人公たちが食べた「異国の憧れの食べ物」という想いがいくつになってもまだ心に残り続ければこそ、相変わらず好きな味だった。
こたつに当たりながらひとさじずつ食べれば予想以上にポカポカと身体も温まり、たっぷりの温かいミルクと一緒に手軽に食べられるオートミールを、冬の間は常備しておくのいいかもしれない、という気持ちになる。
「そういえば『ハイジ』にはオートミール出てこなかったかしら、『嵐が丘』には?『ふたりのロッテ』にはどうだったろうか?」
食べながら色々思い出していたら、読み直したい大好きな本が一気に増えてしまった。
「こうなってくると、冬も悪くないもんだよねえ」
暖まってすっかり機嫌がよくなったので、こたつの中、ちょうどオートミールのボウルの真下あたりで丸くなっていると思われる猫に天板ごしの声をかけてみる。
もちろん返事はなく、ただ静かに雪が降る気配だけが返ってくる。
業務スーパーで398円で売っていたオートミール、Amazonだと値段が三倍くらいだったので驚いた。
そもそも穀物としてえん麦が精製白米より美味しいのかどうか、というような問題はいったん脇に置いて、私には好きな味。