今年の春くらいからずっと毎日お弁当を作っている。
家で食べる日も、外で食べる日も、どこで食べるか予定が立たないときでもとりあえず作ってあると弁当は便利だ。
いずれにしたってどうせお腹は空くのだし、すぐ食べられて時間を取らないし、食後に鍋釜のようなごちゃごちゃした洗い物が出ない。
そしてなにより、限られた面積の中にチマチマいろんなものを詰め込んでいくというのは最高に面白い。
そんな、にわか弁当ニストたる私が、新聞広告などで最近よく目につく本が「藤井弁当」なるレシピ集だ。
(宣伝広告などでだいだいのコンセプトがわかるので中は読んでいない、申し訳ない)。
この本の基本コンセプトが、なかなか面白いのだ。
使うのは卵焼き器ひとつ。
1、お湯を沸かして野菜をゆでる
2、お湯を捨てて卵焼きをつくる
3、肉か魚を焼いて主菜をつくる
この3ステップでちゃんとお弁当が作れるでしょ、というもの。
「ふふーん」と私は思うのである。
なかなかいいね!と。
なかなかいいけれど、私の方がもっと簡単だもんね、と。
それというものみなさん聞いてください、我が家には、引っ越しに際していじましくも散々悩んだ末に奮発して購入した「グリルのわりといいやつ」が付いたガスコンロがあるためなのだ。
油断してると色々落下する魚焼き網でなく、何でも焼けてくっつかないプレートであるところがポイント。
お弁当用アルミカップに色々ちょこちょこつめて全部いっぺんにグリルで焼く。
1、アルミカップにハムを敷いて卵を割り入れる
2、冷凍唐揚げとかを載せる
3、アルミカップに昨夜のおかずの残りを入れて溶けるチーズをかける
4、明太子をのせる
などなど、なんか目についたものを色々のせて、あたためモードで全部焼いてしまえば、「ハムエッグ」と「唐揚げ」と「なんらかのチーズ焼き」と「焼きたらこ」がいっぺんに出来上がる。
あとは詰めながら色とか量とかのバランスを見て冷蔵庫から出した漬物を隙間に詰めたり、青菜に電気ケトルのお湯をかけて絞って適当な調味料で和えたナムルを詰めたりして整えればいい。
グリルプレートは拭けばいいので、鍋釜の洗い物もほぼないし、包丁もほぼ使わないことが多い。
もはや弁当作りにおいて「卵焼きを巻く」という手間すら消えたときには我ながら感動したものだ。
実は一個で卵焼きにすると収まりの悪い形になる、というのは孤食弁当の微妙な悩ましさだったりするものである。
別にお弁当を作ろうと思って選んだガスコンロではないが、お弁当作りにはあると絶対便利なのは「ちょっといいグリル」と「グリルプレート」であると、私は主張したい。
ちなみに弁当好きの私が最近見かけたお弁当本の中でもうひとつ感動したのは『ハードコア弁当』である。
弁当とは、ご飯の上にできあいの惣菜を一個乗せれば十分、という主張だ。
そこにはある種の食に対する人類普遍のロマンが詰まっているではないか。
しかし、そのロマンは若者しか享受できないアレであるからして、私は今日もチマチマ弁当を作る。
容器は弁当箱より保存用コンテナの方が断然便利だと思う。
このシリーズは家にたくさんあるので、弁当箱として使われているとき以外は普通にお惣菜管理に使われている。
丈夫でがっつりレンジもかけられるからこのコンテナで肉じゃがなんかの煮物を作ったりするのもすごく便利。
アルミカップでたいてい何でも焼けるけど、くっつくものを焼くときはアルミカップにスプレーオイルを先に吹き付けるとあとで食べやすい。
最近結構好きなお弁当用冷凍食品。
こういう、自分ひとりではわざわざ作らないものをちょこっと、一個だけ、おかずに入れるのがお弁当の楽しみでもあるわけで。