お盆過ぎて涼しくなった、と油断していたところに久しぶりの真夏日がもどってくる。「これはどう考えても昨日までにやっておくべきことだった」などと反省しながら、我が家の十年選手タワー型扇風機の分解清掃を今更ながらやった。
毎年どこかしら不具合の出る一見おしゃれ扇風機であるが、今シーズンは、いつの間にかヘリコプターの着陸のような音を立てるようになった。扇風機であるのにヘリコプターのような音を立てるというのはずいぶん立派な了見だとは思うものの、扇風機はむしろ静音性のほうが高く評価されるべき家電であり、私としては扱いに困っていたのだ。
そもそも扇風機というのは、昭和の時代からよくみかけるひまわりみたいな丸いものがやはり無理のない形状であるらしく、家にもう一台ある丸い扇風機の方は何年経ってもビクともせずに黙々とよく働く。
それに比べて省スペースとスタイリッシュさを追求してやや無理をしたのであろうタワー型の方は、毎年勝手に思いもよらない働き方改革をしてくるのだ。ある年はスイッチが入らなくなったり、ある年は首振りを拒否したり。
何か不具合が出るたびに「分解清掃して直らなかったらもっとシンプルな安い扇風機に買い替えよう」と思いながら分解するのであるが、それを知ってか知らずか、分解して組み立てなおすと必ず調子がよくなる。
調子よく動いているものを買い替えるというわけにもいかず、しかし毎年暑いさかりに扇風機を分解して洗って組み立てるのも「ちょっと面倒くさいなあ。他の扇風機は何もしなくても動いているよ」などと文句を言いたい気持ちにも多少なる。
そのうえ、あまりにもしょっちゅう分解したり組み立てたりしてるので、いつの頃からかネジがひとつ足りなくなっており、つまりはこちらのミスのせいでほんの少し無理を強いた状態で働かせているという意識が微妙に縁を切りにくくさせている。そしてこの夏も、一緒に乗り越えたのだ。
タワー型扇風機、省スペースであること以外のメリットは特にないけど、性格は良い子である。