何をどうやっても、人類は師走との闘いに勝つことは決してないと信じてきたここ十年ほどだが、今年は驚異的なことに、だいたいのことがだいたい計画通りに片付いている。
「絶対に間に合わない」という危機感のもとに早めから年末意識に突入したのが勝因だったか、イチバン重要なことをすっぽり忘れているか、どちらであろう。
(己の性格を振り返るに、後者である確率が断然高いので、本当にちょっと震えている)
冬に入って室内干しの季節になってからずっと気になっていたアイリスオーヤマのサーキュレーターをやっと分解掃除した。
このサーキュレーターは安いわりに、本当に便利で夏も冬もずっと使っている。
大変可愛いやつではあるが、値段相応に造りになっているのであろう、わりとすぐ異音がしてくるのだ。
去年の夏は咳が止まらなくなったおじいさんみたいな声を立てていたのでヒヤヒヤしたものだが、今年の冬はどういうわけかハン・ソロが使う光線銃の音がする。
「簡素な造りなのにこんなに色んな音響が入っているのはすごいことだなあ」
と鑑賞する側に周り込むことによって何かをごまかしながら無理やりここまで来てしまった。
しかし、異音が出たままの連続使用は機械にとって決してよいことではないのは明らかだ。
そんなに細かく分解できる仕様でもないので表面のカバーだけ外して、あとはパソコン掃除用のエアダスターでしゅーっとホコリを吹き飛ばす。
そうやってまたカバーを戻して、再びスイッチを入れると、あら不思議、スター・ウォーズの音は静かになった。
「ああ、機械から妙な音がしないというのはこんなにストレスが減るものか」
と改めて感心する。
もっと早くするべきであったが、人間、すぐに命に関わる意外のことはだいたい先延ばしにするDNAを持っているもので、つまりそういう暮らしに喝を入れるために、年末の大掃除、という概念が存在するのであろう。
なんでも、やれば快適なのだ。
無事、台所の換気扇も、照明カバーも洗ったので、花屋へ行って南天と松を買ってきた。
花屋は見たことがないほどの量の花材に埋め尽くされて活気づいているのが、晴れがましくて嬉しいものだ。
クリスマス前から家にあったカスミソウに合わせて活けると、ちょうど紅白の取り合わせと、松の緑が爽快。
我が家のささやかな猫の祭壇がぐっと年の瀬らしくなった。
無精者の大掃除には欠かせないエアダスター。
トイレの換気扇も外し方がよくわからなかったので、これでホコリだけふっとばしたが、真面目に洗ったみたいに綺麗になった。