私の大好きな番組『100分で名著』の水木しげる回が大変面白かったんです。
私が子どものころは「漫画なんか読んでると馬鹿になる」の空気がまだあったので、水木サン風に言うところの「クソ真面目な凡人」を鉢巻巻いてまっしぐら目指してた私は、たいして漫画も読まずに育ってしまったもんです。
今やNHKで識者が集まって100分もかけて水木しげるをどれだけ好きかについて力説してよい時代なんだから、実際、クソ真面目なんて目指しても何の意味もないということを実感できて嬉しい。
ヤマザキマリと佐野史郎が、辛いときに水木しげるを読み返すことがどれだけ救いになったか、なんていう話を異常な熱量を持って語るのを見るにつけ
「うーん、久しぶりに読み返してみたいね」
という気持ちになるもので、また危険なことに今や貸本まんが復刻版までKindleでワンクリックで買えてしまうという環境。
ついつい。ついつい。買ってしまい、ちょっと読んでは打ち震えるものがたしかにあるのでした。
『100分で名著』の番組内では「水木しげるはなぜあんなにおならとうんこが好きなのか」という話を時間を割いてわざわざしているのが非常にバカバカしくて良かったです。
番組では「まあ生命活動の根源みたいなもんだしねえ」というような話になっており、その通りなんでしょうが、読んでいるともうひとつ
「クソ真面目に対する最終破壊兵器としてのおならとうんこ」という側面もずいぶんあるな、と思うことです。
ヤバいこと言ってくるやつがいたらおならとかしちゃえばいいわけだ。戦おう。
そんなわけでうっかり水木しげるを買いはじめてしまったKindle端末の中、現在読みかけで悪魔くんと同じくらい「早く先が読みたいもの」として私のKindle時間を争っているのが『パンとサーカス』です。
最近発刊されて、元首相暗殺事件以来ますます売れてるというので「どれどれ」と無料サンプルで試し読みしたんです。
そしたら最初から面白く、「新刊だけに高いなあ」なんて言いながら、またワンクリックでつい買ってしまうことですね。Kindle怖いですね。
民主主義に対する諦めが世に蔓延してしまった以上、あとはローンウルフ型テロリストが連続的に出てくるくらいしかない、ってことをフィクションの力で書かれてしまうと
「うん、たしかにどう考えてもこうとしかならないな」
と思いながら読むわけですが、それでも実際に暗殺事件が起こったときはみんなあれほど驚いたんだから、良くも悪くも人ってあんまり物事を身にしみないまま生きてるんだなあと感心するところです。
まだ半分くらいまで読んだところなので、さてこれからどうなるか、というところではあるんですが、実際どうなるんですかね。
どうも「民主主義」とかぶん回しても全然どうしようもないらしいぞ、とさすがに勘づいてしまったあとの道って、どうなりようがあるんだろう。
みんなで積極的におならとかしていけばどうにかなるんだろうか。