ずっと敬遠してきたワイヤレスイヤホンを、ついに買った話です。
Bluetoothの性能がまだあんまり信用ならなかった時代の印象が強かったために
「使うなら安くて音のいい有線イヤホン一択!」
とずっと思ってきたものですが、昨今だいぶ事情が変わってきました。
まず自分の髪がちょっと伸びてきたせいで、どれがイヤホンケーブルで、どれが己の後れ毛だかわからなくなるときがある。
それから肌寒くなってきたので猫が膝に座りたがり、尻尾がイヤホンケーブルに引っかかる。
さらには、膝に猫を載せてイヤホンで何か聞きながら編み物までしているときがあり、一体どの紐が何やら全然わからない、という自体が発生しがち。
Bluetoothの性能も上がってきたというし、iPhoneもSE3に替えたからいずれひとつはワイヤレスイヤホンを買わなければならん、と思っていた矢先にソフトバンクのHeartBudsを見つけてしまったのでした。
「あらやだ、いずれ買わなきゃいけないもんなら、どうせ機能の良し悪しはよくわからないんだし、可愛いのがいい」
という清々しいミーハー精神を発揮してこれにしたのでした。
最近、自分で作ったおかしなピアスばかりつけてるからイヤホンもそれなりに押しの強いものでないと、ふざけ方のバランスとして耳の北半球と南半球で整合性が取れなくなる可能性も出てくるし。
そこそこいい値段するのだから音質もそれなりに安心できるのではないか。
使ってみた結果わかったことと言えば、耳からハートが飛び出てるのが思った以上に面白いということと、今まで使っていたゼンハイザーの有線イヤホンがいかに優秀かということでした。
HeartBudsだと全体的にカシャカシャと軽く聞こえるうえに、ゼンハイザーで聞こえていた音が、綺麗サッパリなくなっていたりする。
「HeartBudsの方が値段は四倍くらいするのにこういうものかっ!」
と、だいぶ驚いたのでありました。
音楽聞いたときの気持ちよさもそうだし、映画を見たときのおもしろ度にも相当差がつきそうです。
再生するものによっては遅延も、ちょっと気になるくらいあったりする。
とはいえ、イヤホンにケーブルがついていないというのはこんなに楽、というのも久しぶりの大発見でした。
膝に猫乗せ放題、編み物し放題、変な形のピアスぶら下げ放題。後れ毛巻き放題。耳からハート出し放題。
やっぱり快適で、多少音質に差があっても一度踏み込みとなかなか戻りにくい。
それぞれのメリット・デメリットを推し量って考えるに、
「同じくらいの価格帯で定評ある音響メーカーあたりから出してるやつを買えばいいんじゃないの?」
ということはやはり考えるのではありますが、買い物としてはやっぱり面白い形じゃないと心が動かないということはある。
そんなに面白くないメカっぽい形のやつ買うなら猫の尻尾に絡まりながら安くて品質のいい有線イヤホン使うほうが愉快なことだなと思ったりもするのです。
悩ましい沼に行き当たってしまったものだ。
ちなみに私の「耳から変なもの生えてる」ことへの憧れは『ティファニーで朝食を』のヘプバーンが起源と思われる。この珍奇な耳栓、受験勉強用にめちゃめちゃ欲しかったもんです。
私が買った半年前は3,550円だったのに今見たら2,800円になっていてびっくりしたゼンハイザー。今どきピンジャックのイヤホンを欲しい人がどれくらい居るのかよくわからないけど、聴き比べるだにこれはお買い得だなあと思う。
共感性羞恥のために40代には最後まで見通せない宣伝用ショートムービー。
もしもし君たちハレンチな音楽鑑賞はよしなさい。