だいぶ前に人からもらって飲まないままに置いてあった地酒の小瓶があったので盆の15日に珍しく一人で開けた。
線香をたきながら、先月亡くなった猫と暮らした2014年秋からの写真を順に見返していく。
飲みつけない物を飲むので次第に鼻がグズグズしてくる中、五年と十か月分の数千枚の写真を見終わったころにはすっかり深夜、疲れてもうぼんやりと眠いのだ。
窓の外から入ってくるのは目の前の公園で鳴くコオロギの声、穏やかな秋の気配。
なるほど生者あるところには必ずや死者もあって、それが交錯するための時間と場所も、世界にはちゃんと用意されていたのだ。
今まで気付かなかったとはねえ。
実にお盆っていうのはありがたい仕組みだ、と思いながら夢のようなうつつのような静かな夜をほろ酔ってよく眠った。