晴天の霹靂

びっくりしました

首・肩用カイロ ~桐灰か白元か

 

冬至前の北緯43度の街に住むなんて思えば本当に妙なもんだと思うんです。

なんだかちょっとバタバタしていてお昼食べるのが遅くなって、まあ13時過ぎに食事をするといたしましょう。

食べ終わったけど、せっかく入ったコタツが暖かいのでなかなか出る決心がつかなくて食後のお茶をちょっとゆっくり飲んだりします。

そうこうしているうちに頂き物の大福なんかあるのを思い出して「すぐ熱になるものを食べれば身体が暖まってこのコタツ沼から這い出す勇気も湧くのじゃないか」

などとひらめくのです。

 

寒いときの甘いものは美味しいですから「オーソドックスな大福なんて自分ではなかなか買わないけど久しぶりに食べると美味しいものだなあ」などとしみじみ食べますね。

そうすると、口の中は結構甘いですからこれは熱くて濃いお茶をいれなおした方がこのひととときをより有効に楽しめるな、ということになります。

そうして熱いお茶をふーふーしてたら、ふと気づいたときの窓の外の光線の具合がちょっと西日っぽいニュアンスが出はじめてるではないですか。

 

えっ、私やっと午前中を終わらせたところだけどもう夕方がはじまっているのっ?

という、この衝撃だるや言葉にならないですね。

 

 

ここ数年毎年買ってる首肩用カイロを今年も買いました。

今までは桐灰の「あずきのチカラ」を使ってましたが、今年は大して深い考えもないままに白元の「リラックスゆたぽん」にしたのです(というかパッケージが似てたので「あずきのチカラ」だと思って買った)

 「あずきのチカラ」が全部あずきなのに対して、こっちはセラミックが入ってるせいなのだと思いますがより温度が高く感じます。

去年までは「どこまで温めたら限界かなー」と思いながら10秒ずつ加熱時間を増やしていくチキンレースをしたもんですが、これは規定の時間レンジに掛けただけでちょっと熱いくらいまで温度があがるので、熱さ追求型の私のようなタイプにはより満足度が高いのではないようです。

 

Amazonで買うと1,118円、地元のドラッグストアで買うと1408円。

結構差があるなあ、と毎年思うのですが配送の人にも申し訳ないし、ドラッグストアにもお世話になってるし、というのでいつもドラッグストアの方で買っている商品でありました。

 

 

今週のお題「自分にご褒美」

俳句の日めくりカレンダー ~物量としての2021年

 

 来年は毎日がちょっとおもしろいカレンダーにしようと、珍しいことに日めくりを買った。

真新しい日めくりの薄くて柔らかい真新しい紙をさーっと指で弾くと「一年って結構な量だな」という気分になるものだけど、実際年が明けていざ一枚一枚ちぎっていくと、これはこれであっという間に薄くなるんであろう。

特に何の予定も目印も書き込めるわけでもなく、ただその日一日に関する情報と、物量として時間が経過するのを実感するためだけの日めくりというものは、思えばなかなか贅沢なものではないか。

 

どこかの銀行やら保険会社から回ってきたカレンダーというのも機能的なものが多くてありがたいが、たまには自分でテンション上がる暦を買って準備しておくというのも、いい気分なものだ。

薄い紙をパラパラしては、2011年の間から吹いてくる風を浴びている師走。

 

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暦買う三百グラムの一里塚

今週のお題「自分にご褒美」

眠りゆく散歩道

冬枯れの公園の中を歩いていたら、低木の茂みごしに金色の頭がちらちらしていた。

見れば雪囲いをしているのは見事な髭面プリンの植木屋さん。

もう雪も降り始めてる中での作業はさぞ寒く、もしかすると毎日ひげをあたったりすると乾燥で荒れてしまうのかもしれない。

それにあの見事にくっきりした黒と金の髪の境目は、どうかすると半年近く切っていないのではないか。

今年はまあ、なんだか色々あってみんな忙しかったですものねえ。

 

明らかに自分のことは手入れの足りてないその人が、素人目には「もう枯れて駄目になっちゃってる」みたいにみえるパサパサの植木を、来年のために大事に包んで暖かくしてあげる様子を見ると、それはなかなかに感動的な光景なのだ。

小鳥みたいにひょこひょこと、茂みの間を出たり入ったりする鮮やかな金色の横を通りすがりながら、こっそり心の中で目礼をする。

来春の楽しいお散歩のためにありがとうございます。

 

この季節一番好きな散策路は落葉松の並木で、びっしり落ちた黄金色の細い葉の上に真っ白に雪が積もった鮮やかさたるや楽園の色彩だ。

そして松独特の涼しく甘い匂いが道の向こうまで、ずーっと目印のように伸びている。

散歩道に、次々と金の道標ありとは、ありがたいことだねえ。

 

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金髪が雪囲いする松林

今週のお題「感謝したいこと」

 

『JUMBO MAX』 ~いつの間にか過ぎ去ってしまった時の妖精

最近読んだ『JUMBO MAX』っていう漫画がすごく面白かったです。

JUMBO MAX(1) (ビッグコミックス)

JUMBO MAX(1) (ビッグコミックス)

 

 私の口からは説明しにくい文脈も多々あるので、Amazonの商品紹介ページから抜粋するとこんな話。

小田原で薬局を営み、美人の妻と義理の娘と共に、平凡だが幸せな日常を送っていた曽根建男。だがある日妻から妊娠を打ち明けられ強いショックを受ける。
何故なら建男は今まで一度も下半身が機能したことがないという秘密を抱えていた。妻の子は、自分の子ではない…そう思い絶望する建男。
そんな時、須磨岡という男から偶然謎のED薬を手にした建男は衝動的にこの薬を飲むと、下半身の機能が奇跡的に回復し衝撃を受ける。
建男は須磨岡に、この薬を自分が再現し、作ると宣言した。
だがそれは、建男の人生を大きく変える、危険な日々の始まりだった--!!
ED薬×愛×犯罪!!全く新しい、最高に刺激的なクライムストーリー、開幕!! 

 

 ED薬っていうものについて切実に考える機会はこの先もあまりないであろう私にとって何が面白かったって、まず主人公の冴えないおじさんの姿勢とスエット姿がいちいちものすごく胸に迫るのです。

 

申し訳なさそうにいつも猫背、メタボのせいで部屋着の腹か背中が常に出てる感じがとても多くのことを語って見えます。

本来一番リラックスするときの服装をしていても常に世間の期待とサイズがあっていない違和感を意識させられ続ける感じ。

快適でいようと決意する人ならば、大きいサイズの店で買ったり、あるいは筋トレでもしてサイズを落とせばいいという理屈は知りながら、なんとなく違和感の存在の方を認められなくてずっとそのままにし続けてしまっている感じ。

いつからこんなふうにズレてしまったのかよく理解できないまま、でもとにかく自分のせいなのだろうと思って目立たないように気をつけている感じ。

そういう切なさが、立っていても座って居ても、ひとつひとつの絵の中に全部見えてきて、読めば読むほど、このおじさんは「いつの間にか経過してしまった時の妖精」なのだ、という気がしてきます。

 

そしてまた、非合法なED薬の開発だけあっていろんな有象無象が寄って来てしまう中に、これまた「見た目においては世間の期待からだいぶズレているおじさん」の、完全に別のタイプが登場します。

自分が世間から軽く見られがちなのは承知の上で、そうならば礼儀正しくしていても何の意味もないからとばかり、搾取できるものは搾取して堂々と自己中心の欲望の人生を生きていく。

この自己中おじさんにたいして、主人公は「この人は前進して突破していくタイプだ」というこれまで見たことなかった種類の希望を見出す瞬間がまた素晴らしいです。

善意の人の中に芽生えた「悪の効能」みたいなものに、また読んでいてこちらまでブルっと勃つところ。

 

「漫画が絵であることの快感ってこういうことだったのか」と随分感動して続けて2周読んだのですが、発売されたばかりの新刊で、いくら楽しみにしてもそう簡単に続きが出るわけでもない。

 

そもそも、この漫画を知ったのはラジオ番組のゲストで作者の高橋ツトムさんが出ていたのを聴いたのがきっかけでした。

その番組中「初めての読者が手に取るのに他にオススメの作品はどれですか」と聞かれて「『残響』っていう短編集がありますよ」って言っていたのを思い出し、Kindleで検索してこれも買って読んでみたんです。

これがまた、さらに輪をかけてとんでもないことですよ。

残響(1) (ビッグコミックススペシャル)
 

 短編集じゃないんですっ!

高橋ツトムさんの短編集は、調べてみたら『四季彩』という、全然別のタイトルじゃないですか。

別に悪気はなく単にいっぱい書いたから間違えたのでありましょうが、まさかこっちは作者が自分の作品集のタイトルを間違えるなんて思いもしないので調べずに買ってしまっています。

途中でやめられない以上結局全3巻買うはめになってしまうではないか、どうしてくれる、と思ったもんでございます。

予定になかった出費だよっ!

と思いながらも、「お金ないのに」と思いながら買っちゃう作品とか、「もう寝なきゃ」と思いながら読んじゃう作品なんかに出会うのは、やっぱり嬉しいことだな。

 

 

 

公式サイトから3話分無料で読めます。

bigcomicbros.net

 

しゃがれるが、エヘンはできない

人と話さずに長い時間暮らしていると声帯が固まるといったものか、とっさに声を出そうとして情けない声が出てしまうということがある。

あれは、どうやら猫もあるのじゃないか。

 

近頃寒いので一人でコタツに籠城する時間が増えている我が家の猫は、たまに出てきて退屈しのぎに人間に愛想をふりまこうとして、びっくりするような声を出す。

カラスの雛のような、と私は思うのだけど、カラスの雛の声は聞いたことがないのでそれだとちょっと言いがかりめいているかもしれない。

妙に濁った声ではあるものの、基本的には身体の小さな生き物なのであまり迫力はなく、聞いてて大変にひょうきんな気持ちになる声だ。

本猫としてもやっぱりおかしな気がするのだろう、やけくそ気味に大きな声を出している。

 

「に゛ゃーー」

「なあに?」

「に゛ゃーーあ」

「エヘンして」

「に゛ゃあああーー」

「エヘンしなさい」

「に゛ゃあああーー!!!」

という具合のやり取りになるのが、最近ちょっとしたお楽しみ。

猫も冬は喉にきやすいのか。

 

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しゃがれ声エヘンは言えず師走猫

 

在宅ワーカーに超便利な四百円くらいのアイテム

今使っている資料を全部と多少の文具類なんかをまとめて家の中を移動しながら仕事するとき何が一番使い勝手が良いか、ということを近頃考えていたのです。

もうちょっと砕いて言うと、机周りにある細々したものを全部持ってコタツに籠城するときはどうやって移動するのが最も不精しやすいか、という試行錯誤です。

 

色々考えてみましたが、イオンのマイバスケットがやたら便利でした。

 

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イオンマイバスケット

こういうものでイオンのサービスカウンターで400円弱で買えます。

デポジット制で不要になったら同じ金額で引き取ってくれるそうです。

 

スーパーにある買い物かごとまったく同じサイズ。

A4版の資料を背表紙が見えるように並べて縦に収納できるし、大きいから中でブックエンドも使えるし、地図みたいな大判かつ変形の資料も長辺をうまく活用すればほとんどなんでも入る。

何が入っているか全部見えて、軽くて頑丈。

 

買い物用のかごってめちゃめちゃ機能性高いよなあ、と昔から薄々思っておりましたが、リモートワークの時代、マイバスケットこそが最強のビジネスアイテムなのではあるまいか。

ついでに買い物にも使えるし。

 

www.aeon.info

冬の季語ちらほら

 

俳句の歳時記をよく見るようになると、季節感というデータベースへのアクセスがしやすくなって嬉しい。

季語には、なんとなく心当たりはあるが知らないことがたくさん詰まっているではないの。

 

冬の季語で「湯たんぽ」を「湯婆」と書くのだということを初めて知る。

「婆」は「たんぽ」とは読まないだろう。

なぜ湯のババアで湯たんぽなのか。

「……フォルム?」

という考えが一瞬脳裏をよぎって、あんまりひどいので慌てて打ち消す。

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ゆばあばと書いてゆたんぽあばら骨

 

吉村昭の小説『羆嵐』では、山から下りてきて最初に女性の肉を食べた羆が、女性の匂いにばかり執着するようになり、女性が湯たんぽ代わりに使っていた焼いた石まで噛み砕いて遊んでいた、という空恐ろしくもなにか色っぽい話が書いてある。

湯たんぽには、なにかそういう女性的な連想をさせるものがあるのかしら。

羆嵐 (新潮文庫)

羆嵐 (新潮文庫)

  • 作者:昭, 吉村
  • 発売日: 1982/11/29
  • メディア: 文庫
 

 

 

ちょっと色っぽい、でいえば「雪女郎」というのが人気の冬の季語だというのも、はじめて知ってちょっとうれしい。

この冬、他に遊びにいくところもなくて、やっとうっすら雪がつもり始めた広場で妙にたくさんの子どもたちが遊んでいるのを見ると、雪の遊びとソーシャルディスタンスの相性の良さに感心するのだ。

あんまり器用に、離散しながら遊んでいるので、子どもたちの間に私の目にだけ映っていないもうひとりがいるんじゃないかしら、という気になったりも、する。

あれが、雪女郎っていうものか。

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子と犬と雪女郎遊ぶディスタンス

 

今年は冬靴を新調したところ、まだ慣れてなくて道の凍っている時間はとりわけずるずるとよく滑る。

ギリギリの緊張感で受け身を取りつつ、「ころぶばばあ」と書いてお転婆、というのがとっさに脳裏をよぎるのだが、あれは別に冬の季語ではないはずだ。

 

 

美しい日本の季語―365日で味わう

美しい日本の季語―365日で味わう

  • 発売日: 2010/04/01
  • メディア: 単行本
 

 365日毎日一個ずつ季語が書いてあるので、何も面白いことが思いつかない日に眺めて楽しい。