晴天の霹靂

上品な歩き方とかを習得できないまま人生を折り返すとは

時々飛び込む例のアレ 男子板飛び込み

【今日の観戦】

NHKオンラインを開いてみたら男子飛び込みを、解説もなしにただ配信しておりました。

競技会場の音しか聞こえない淡々とした映像を

「へー、こういうのもあるのか」

と思ってしばらく見ていました。

静かな中、いきなり誰かがしぶきと共に水に飛び込む。

すぐにカメラは水中に切り替わり、さきほどまで板の上にいた選手が深くてきれいな水の中をすいすいと泳いでプールサイドまでいきます。

競技に対する知識がゼロなので、今見た技のどこがすごいのかについてはまったくわからないものの、むしろ競技後の、ちょっと緊張を解いてのびのびと泳いでいくシーンを見ることがもっぱら楽しい。

「さあ、飛び込むぞ。はいパシャーン、すいすいーっと」

という感じ。

静寂をときどき破る刺激の心地よさには何か覚えがあるような、と思いおこせば、昔からよく馴染んでいる例のあれなのでした。

古池や蛙飛びこむ水の音

 

 

 

【 今日のオリンピック読書】

東京招致が決まった直後くらいの、まだまだ開催反対論が少なかったころに刊行された対談集。

世の中にまだ「新型コロナウィルス」という概念がなかったときの空気感が、ある種のどかで懐かしい。

あの頃は私も「別にどっちでもいいけど、ネットでも見られるなら多少は見るよ」くらいの感じだったよなあ。

 

小田嶋 うち の 国 って、 突発 し た 事件 で 一気に 世論 の 風 が 変わる みたい な こと が 起き そう じゃ ない です か。

平川   だけど、 どっち 側 に 変わる かと いう と、 さらに 翼賛 体制 的 な 方向 に 行く 可能性 が 強い よね。

内田   たぶん、 そっち に 変わる と 思う よ。 そういう 国 な ん です よ、 日本 は。 だからこそ 何 も 起き て 欲しく ない ん だ よ、 オレ は。

内田 樹; 小田嶋 隆; 平川 克美. 街場の五輪論 (朝日文庫) (Kindle の位置No.2059-2063). 朝日新聞出版. Kindle 版.

 

びっくするくらいの「突発した事件」はこのあと実際に世界規模で起こった。

そしてオリンピックはどうなったかといえば、感覚では「翼賛体制的な方向に行った」というよりは、話題にするのがはばかられるほど二極化した。

開催賛成か反対かで、暴力的な巨大言論空間が出現し、「見る」「見ない」ということすら政治的踏み絵のようで、うかつに人前で口に出せないような気後れがある。

 

招致の頃はまだ無邪気だったのだ。

実際は「同調圧力が強くなる」「さらに翼賛的な方向に行く」くらいの心配どころではない。

意見の違う人とコミュニケーションを取ることがほぼ不可能な決定的な分断の中に投げ込まれてしまったような気がする。

ほんとに、なまじ大げさでもないと思うのだ。