晴天の霹靂

上品な歩き方とかを習得できないまま人生を折り返すとは

選挙演説ふたつほどはしご

秋の良い陽気の中を小泉進次郎さんの選挙演説に行ってきました。

何が興味あったかって、ネット上ではおバカキャラとしてネタにされがちな一方、とにかくマメで演説がうまいという話も聞く。「それ、両立するのかっ?」というのが兼ねてからの疑問だったのです。

 

行ってみたらば、遠くからでも場所を確認できる人だかり。聴衆の数もさることながら、道警、SP、党員とやたらめったら禍々しいのです。演説場所はバリケードで仕切ってあって、中に入るセキュリティチェックのための長い列ができていました。

あんまり群衆の中に行くのも嫌だから、端っこの方でウロウロしながら盗み聞きしようかなと思って立っていたら道警さんが近寄ってきて「立ち止まって聞けませんので列に並んで中に入ってください」と言われたのでした。まあ、言われるよね。

手荷物をいったん預け(生ラーメン二玉入ってた)、ポッケの中を全部だして、金属探知機かけられて、終わったところで「これ、見えるところに貼っておいてください」と赤いシールを渡されます。ぼんやり受け取って胸に貼ってから気づいたことには、自民党マークなんです。「こんなの貼ってたら支持者に見えるじゃないかっ!」と若干の戸惑い。どこまでが警察でどの人が党のスタッフなのか見分けがつかないものの、なんとなく公的機関のセキュリティチェックなのかなと思っていたものを通過したところで党のマークをつけさせられるっていうのは「若干グレーっぽい気もする」と思ったものです。どうなんですか。

しかも入口通過後の空間も二層構造になっていて、私のような野次馬は入ってすぐのところに溜まるのですが、さらにその奥の街宣車に近い方にもう一段階バリケードがあって、マスコミと関係者らしき人だけが入っていくようです。奥へ行ける人と遠くで足止めされる人にどういう違いがあるんだろうかと見ていたら、胸元に貼った自民党シールにさらに緑色のシールを貼ってある人だけ立ちはだかっている警備の人が通してくれるようでした。

まさか街頭演説まで階級構造になっているとは衝撃的なことではないの。政権取ったあともこうやって社会運営されていくんだな、という縮図がここに。

 

小泉進次郎さんという人は、引きの強い人でした。大変に爽やかな弁舌で、「裏金の問題についてはこの候補者はなんにも悪くないんです。悪いのは、私のような党の執行部です」みたいなことを冒頭あたりで言い出します。

たいへんにツッコミごたえがあるつかみで、「じゃあなんで応援演説来てるんだよ」とか「私を嫌いになっても党を嫌いにならないでください、ってアイドルかよっ」とか「そもそも別に誰も責任とってないじゃん」とか。ついツッコミの角度にワクワクしてしまいます。おかげで、このあともどんな面白いこと言うのかしら、と手ぐすね引いてすごい集中力を持って演説を聴いてしまったのでした。わざとやってるんだとしたら相当なものだし、わざとじゃないとしたらそれはそれで相当なものです。

本当にネットで言われてるような”おバカキャラ”なのか、それとも”実は頭の切れる策士”なのか見極めたいという本日のミッションについては「本当によくわからない」という結論でした。見たまんまの人なんじゃないだろうか。

 

演説が終了したタイミングでワンブロック隣で野党第一党が演説していたので、ついでに聴いてきました。そちらは私を入れても聴衆は二人いただけで、ほとんど誰も聴いていない場所です。「ここのところ、与党過半数割れの見込み、なんて報道されていますが、こちらを油断させるためのフェイクニュースとさえ言えると思いますよ」なんて面白いことを言い出します。聴衆もいなくてカメラも回ってない演説って「大丈夫なんですか、それ」みたいな言葉がぽろっとこぼれたりするので、やっぱりたいへん興味深いものですね。