師走もたけなわですがhuluの『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』にだいぶハマっています。2017年の配信開始ということで「今ごろ観てんのっ?」ってことにはなりましょうが、なんせ着々と世界が小説の方に近づいていってしまっていることもあってひしひしと面白い。
元はといえば2023年の正月のNHKでフェミニズム特集で原作小説『侍女の物語』が紹介されていて、その時にはじめて知った作品でした。
番組を観たときに「そんな小説があるのか。いずれ読もう」と思ったもの、ぼんやりしてる間にも時は流れて2024年末。Huluでドラマ作品が見られることにやっと気づいて試しに見始めたところで止まらなくなったのでした。
原作小説をパラパラっと目を通してみたときにもすぐに感じたことですが、主人公たちの名前がものすごく共感を阻むのです。「オブフレッド」とか「オブグレン」とか「オブダニエル」とか違和感だらけの名前が並んでると個性もないし、やたらとっつきにくいな、と思ったらそれが仕掛けだったんですね。
女性が”産む機械”として家庭に配属されたら、個人の名前は奪われて、家長の名前から「フレッドのもの」「グレンのもの」「ダニエルのもの」と呼ばれるようになる。名前を奪われることで、アイディンティティがいかに決定的に削られていくかということが、”奪う側にとってはささいな日常”の中で淡々と描かれていきます。
観始めたのが2024年ということで、日本でも選択的夫婦別姓賛成派(だったはず)の首相が誕生し、それに加えて与党が少数派になり、という出来事が立て続けに起こった時期でもありました。
「これはひょっとして女性が名前を変えないで結婚できる日がすぐにも来るんじゃないか」と一瞬希望を持ってからの、「なぜだか一向にそういう流れにはならないな!」という失望と重なったのでひとしお印象深いのです。
個人的には、別姓婚ができるようになったからと言って現行の婚姻制度そのものに興味がないことにはかわりはないとはいえ、「本人が必要だって言ってる名前を取り上げうるという制度が存在してることが、そもそもおぞましい」と日々感じるのはたしかで、意志に反して名前を奪われたり割り振られたりするってこういうことだよな、と思いつつ前のめりに見るのでした。
現在シーズン2に入ったところ。一種類の「美しさの基準」みたいなものから離れた役者さんたちの存在感も魅力的で、面白いです。
半額セールだったので原作も買いました
そしてハマったのでついグラフィックノベル版も買ってしまった。
2023年のお正月特番『100分deフェミニズム』も興味深かったです。
私がテレビで出会った90年代のフェミニズムの議論は、最初から笑い者にするための座組がなされたおじさんたちの中にフェミニストが一人だけ放り込まれて、ヒステリックに騒いでいるように編集されたものを、「お茶の間」で母娘でみせられて「人前でフェミニズムの話とかするとこういう目にあうから気をつけなさい」と刷り込まれる、という代物でした。
それを思えば、ちゃんと女性だけでフェミニズムを語る番組ができるところまで来ているというのはまあ前進はしてるんじゃないか、と思うところもある。
原作はそんなに長くないのにシーズン5まであるのはちょっと驚いた。