「NHKドラマ『大奥』が面白い」
という話が、たまたまつけていたラジオ番組から聞こえてきたときには、私はまだ油断しておりました。
一応大河ドラマにつきあってるし(何がおもしろいのかまだあまりピンときていない)、時代物ドラマはひとつ見れば十分だよなあ、なんて聞き流したところで、今度は別のコーナーでお天気キャスターの人が出てきて
「私も『大奥』見てます。面白いですよねー」
なんてわざわざ蒸し返したのに及んで、おやおやこれは?という気になってきたのでした。
そうは言ってもテレビドラマの時代物は基本的に「コスプレ学芸会に見えるのが気恥ずかしい」と思いこんでる節のある私としてはまだ疑っておりまして、ドライヤーなんかかけながら
「じゃあ、雰囲気だけチェックしておくかー」
なんて、オンデマンドを観始めたもんです。
その後「まあ、ちょっとまて。落ち着け」と一時停止を押し、いそいでグワングワンに髪を乾かし、しっかりパソコンの前に座ってそのまま現在公開中の第三話まで一気に全部見たのでありました。
おちおちドライヤーも掛けていられないくらい冒頭から設定がヤバいと思ったら、そうか。『大奥』はよしながふみさんの『大奥』だったのか。
こういうヒット作があるのはたしかになんとなく知っていたが、読んだことはなかったし、アレがコレだとは思っていなかった。
それはそれは。これはこれは。
あまりにもドラマを一気に観終わってしまったため、つい原作コミックも買い、今まだ読み始めたとこながら、当然原作も大変おもしろいです(今さら)
コミックのほうが感情の繊細なところまで細かく描くことができているのだけど、今回のドラマは何がうまくいってるのかといえば、意匠がポップになってることによってちょうどいい具合のマジックリアリズム感みたいなものが出ていて、そのおかげでコスプレっぽさみたいなものは逆に負担にならないのです。
時代がかったセットの中で現代風の顔つきの役者さんたちが感情を伝え合うのを、「男性が女性に選ばれなければならぬ世界ならばかくもあろう」というちょっと見慣れない種類のきらびやかさが取り持つ、その噛み合い度合いがちょうどバランスが良い。
とても不運な目に遭う猫さんが出てくるので、猫に関する感情出力が調整できない人はちょっと気をつけたほうがいいシーンもあるんだけど、ちゃんと抑制きいてて好感持てる演出であるなと思いました。
今後もたいへん楽しみだ。