何ヶ月も延々とこたつの中で寝てばかりいたくせに、
日が長くなってくると
「なにか遊び足りないような気がする」
と、急に思うものだとか。
いつものように寝る前に布団の中で本を読もうとすると
天井あたりからじっと見られている気配がする。
「きっと気のせい。きっと気のせいだ」
そう自分に言い聞かせながら、本の続きに没頭する。
やがて眠くなって、電気を消せば
恨みがましい気配はトン、トン、トンとかすかな音を立てながら近づいてきて
枕の上の私の頭を小突いてどけた。
隅っこに辛うじてこめかみを載せるスペースを確保しつつ、枕の上にのってきた毛玉に顔面をうずめ
「……明日遊んであげるから」
と詫びれば、間もなくゴロゴロ言う音が頭蓋骨を伝ってくる。
春が近いうえに、満月だから、やたらとルンルンするらしい。