晴天の霹靂

びっくりしました

お香をたく習慣

お香に火をつけようとして、残りが少なくなってることに気づいた。

「そろそろ新しいの買っておかないとな」

と思う。

 

部屋に花を飾る習慣と、掃除が終わったあとにお香をつける習慣は2年前に急に他界した猫が我が家にもたらしたものだ。

お香は茶筒みたいな紙の容器にたくさん入っているものだが、向日葵、桜、白梅、金木犀、と次々買ってはせっせと煙に変えていき、次で5箱目になるわけだ。

 

最初の頃は寂しくなると日に何度もつけていたが、最近はたまに

「お、今日の分忘れてたごめんごめん」

という日もある。

猫の方も、あんまり執念深くいつまでもメソメソ覚えていられていると居心地悪かろうからこうして習慣の中で思い返すのも、少しずつ不在に慣れていくのも、あわせ技で供養というものだ。

思い出せば一番最初、初めてのお花と一緒に買った「向日葵」のお香が匂いも控えめで一番好きだったような気もするけれど、でも、本当のところ、どうだったんだったっけ。

 

あの子が使っていた餌皿は毎日洗って、今日も元気な黒猫の餌皿と並べておいてある。

私も何も言わないが、黒猫もいったいどれくらい覚えているものか、空の餌皿にちょっかいを出すことは一度もしない。

そうこうするうちに「あの子がうちに居た時間」を「あの子がいなくなってからの時間」が追い抜いて、どんどん長くなっていくんだろう。

 

雑貨屋さんをのぞいたら今までみかけたことのない「くちなし」のお香が入っていた。

じゃあ次はこれにしようかな、と思う。

でもくちなしってどんな匂いのものかしら。

 

楽しみだね、新しいお香。せっかくだからいい匂いだといいよね。