正月なので久しぶりの友人に会ったりなどする。
年を経るごとにお互いの近況報告がちょっとずつしみったれてくる感じというのは、なかなかに味わい深いものがある。
だいたいみんな、そろそろひどい目にあいはじめているお年頃なのだ。
私と言えば、何十年ぶりかで実家というものに行ってみたら再開発地域になっていて、ずいぶん様子が変わっていた、というようなことなど報告する。
今でこそ実家周辺は、ほとんど誰も使ってないバカでかいハコモノやら、流行ってなさそうなショッピングモールやら建築中のマンションやら、悪巧みの巣窟のような場所になっている。
私が居たころはたいした店もなく、古い住宅やら工場やらなんだかごちゃごちゃと寂れたところで、急にスクラップ置き場があったりなどしたもんなのに。
調子よくしゃべっていたつもりだったが、いったん外に出た自分の声を耳から聞くに、どうも私は違うことを言ってるようだ。
「昔はあのへん、スプラッター置き場とかあったんだよ」
2秒くらいおくれて、自分がだいぶ妙なことを口走っている、と気づく。
年明けそうそう人が大量に死ぬ映画やら本やら見すぎて、そっちに引っ張られているが、シャマランじゃあるまいしそんな実家ないよなあ。
超ウケルー、とばかり聞き手の顔を見るとスマホの画面を覗き込んでいた友人が興味深げに相槌をうった。
「……ふーん」
2022年最初にして最大のボケをスマホに惨殺された記念の瞬間である。