暑いときに「暑い暑い」と文句言えるので武士じゃなくてよかったなあ、と実感する真夏日です。
弱い人間は気づいたときにマメに文句言ってかないと比較的すぐ死んじゃうので気をつけていこう。
暑さで朦朧とするので『マッドマックス・フューリーロード』を見てます。
公開時に劇場で見といてよかったなあ、としみじみ思う作品でありますが、これは家で落ち着いて観ても、見るごとに楽しい。
( 「怒りのデス・ロード」という邦題に関しては、気恥ずかしくて使えないまま今に至る)
荒廃した世界で、あらゆる資源に飢えた民が「水、水っ!」となってるシーンが、やたら麦茶を飲むことでなんとか正気を保ってるこの季節っぽいではないか、という連想ですよ。
手の届く人のところにだけ無駄な水がじゃーっと降ってくる雑な経世済民とか、今みるとまた一層いろんな示唆に富んでて楽しいな。
はじめて劇場で観たときは、あまりにも観たことのない景色が説明もなしに次から次に放り込まれるので
「なんかすごいけど、なんなんだっ?」
と思ったもんですが、落ち着いてみると外しのユーモアがいっぱい入っててなんともかわいい作品だったのね、と思います。
ずっと死にそうな目にあってるうえにほとんど口をきかないマックスが、たまに口を開けば「それ俺の車」とか「それ俺のジャケット」とか、徹底してセコイことしか言わないところ。
獣みたいに「あー」とか「うー」とか言いながら、頭に付けられた鉄製マスクをずーっとヤスリでギコギコ削って外そうとしている貧乏くさい仕草。
英雄なのかと思いきや、母乳で顔を洗ったりなんかするなんか生理的なダサさ、など。
画面全体は超かっこいいのに、マックス本人はどうあっても全然かっこよくなりようがないところがすごくいいですね。
それでも、生き延びてもいいこと一個もなさそうなのに、つい全力で生き延びようとしてしまう本能は、ある種かっこいいと言わざるを得ず、そのいびつな感じは、説教臭さなしになんか心にぐいぐい来ます。
シャリーズ・セロンのフェリオサがあんまりかっこいいので、最初のうちはフェリオサが実質的な主人公で、マックスは何もしない人なのかなと思ったりもしましたが、何度も見てると、ちゃんとマックスが面白くなってくるところが、またお得感。
モノクロームエディションも超好き。