かくして世界は意識が遠のくほど暑いわけである。
パソコンに向かっていたのが、突然ガバっと立ち上がって、自分でもなんだかわからずに家中をぐるっと一周してから、またもとのところに戻ってきて座ったりなんかする。
「あれ、なにしにあっち行ったんだっけ?」
と思ったら、どうも無意識に一番涼しい場所を探してるらしく、要するに猫とまったく同じ行動なのだ。
午前中の間はずっとウロウロして、各所の室温やら風通しやらを丹念にチェックしてまわっては
「ちょっと暑いんだけど?」
と文句を言いにきていた黒猫も、日が高くなってしまってからはさすがに根をあげ、クローゼットに閉じこもってもう出てこない。
心配なのでたまにそーっと見に行って
「……大丈夫、暑くない?」
なんて声をかけると、わりと露骨に「うるさいなあ」という顔をするのでちょっとへこむのだ。
なんだよ、優しくしあって生きていこうよ。
40度に手が届こうかという地域も多い日本列島の中で、30度ちょっと超えたくらいの北海道からあんまりぶーぶー言うのも気がひけるのだけど、一応クーラーという文化のない夏の32度はそれなりにキビしい、ということだけは、念の為主張しておきたい。
4小節おきに「あっちーなーっ」と言っているうちに、恐ろしいことに夕方になる。
首の後ろに巻いた保冷剤を取り替える以外になにをしていたのか、いまひとつ記憶がない。
秋までアイスノンの上に頭を載せて本を読む以外、したいことはとくにない。
春くらいからかんてんクックでレモンゼリーを作り続けてるんだけど、この季節は塩をひとつまみ入れると一気にスポーツドリンクの味になって美味しいことを発見した。
レンジで加熱するので室温も上がらないしなかなかよろしい。
覚書
1、水400ccにかんてんクック顆粒を小さじ1(3グラムくらい)と塩ひとつまみ、軽くかきまぜる
2、レンジで4分10秒くらい加熱して80度まで上げる
3、サーモメーターでかき混ぜつつ80度超えているのを確認したらレモン果汁をどぼどぼ
4,粗熱取れたら冷蔵庫へ
5,液体パルスイートなどを適宜かけて食べる
ほぼ意識が遠のいていても作れるほど大雑把であり、かつ水分補給がはかどる。