爪切りって本当にすごい商品だなと思うのです。
百円ショプで買えて、永久かってほど長持ちするうえに
パチーンパチーンと音も高らかに切っていたらちょっとしたお祓いの代わりくらいになりそうな爽快感もあります。
貝印って偉大なメーカーでありますね。
そんなふつうの爪切りを愛する私が買いました。
五千円を超える「超高級爪切り」
自分ひとりのためなら、「ふつうの爪切り」を50本も賄えそうな値段のものを買おうという発想はわかないところなのですが、
我が家には自分以外にも切るべき爪があるのです。
この猫がいつの頃から頑なに爪を切らせない。
ネットを検索すると爪切りを嫌がる猫は
「頭からバスタオルをかぶせるなり洗濯ネットに入れるなりするとおとなしくなる」
という知恵がヒットするのですが、
そもそも「頑なに爪を切らせない猫」というのは「頭からバスタオルをかぶせられることを断固拒否する猫」であるパターンも多い、と思うのです。
我が家を闊歩せる漆黒の悪魔は、自分のペースでは甘えて膝にも乗るくせに、こちらから何らかの意図を持って抱き上げようとすると、すぐさま気配を察して全力で逃げるツンデレ気質。
まだ若いので新陳代謝で爪はちゃんと生え変わってはいるのです。
慌てて切らなければすぐさまなにかの不具合が生じるようなことでもないので、しばらく放っておいたところ、いつの間にか招き猫のようにちょっと片手を上げておすわりする癖がついてきたではないですか。
どうやら、カーペットに爪がひっかかっている。
再び、ああまで爪切りが嫌いな理由をもう一度考えなおす羽目になったのでした。
パチン、という衝撃が怖いのだとしたら、バカみたいに切れ味のいい爪切りならば切らせてくれるようになるのではないか。
そのようなことを考えていた矢先
「SUWADAという爪切りはバカみたいに切れ味がいい」
という噂を聞きつけました。
買ってみた。
ひとまず人間の爪を試し切りしてみました。
「パチン」というよりは「むりっ」という感じ、本当に刃物がすっと入って行く感じで切れて気持ちがいい。
よく切れると、やすりを掛けなくても切り口は最初からつるつるしてるというのも興味深い発見です。
そして最後に豪快に割れる感じがしないので、音や衝撃は少ない。
一般的にペットコーナーで売ってる猫用爪切り(600円くらい)と比べると、当然のようにだいぶ違う。
結果、猫の受けはどうだったかというと、あいかわらず嫌がることは嫌がりましたが、抵抗の本気度が全然違い、実に久しぶりに前足十本の爪を全部きれいに切らせてくれたには感動しました。
やっぱりあの「パチン」と割れるが怖かったんだね、きっと。
ニッパー型については、ちょっと怖いかな、と心配したけど自分の爪切ってるうちにすぐ慣れました。
ちゃんと安定感よく使えるデザインになっている。
ただ同じSUWADAから、刃先を丸く加工してあるタイプも出ていることに後で気づき、急に暴れる可能性のある動物にも使おうということなら、ラウンドタイプを選ぶという選択肢もあったな、と後から思いもしました。
(とはいえ、ひとたび慣れてしまえば本当にどっちでもいい感じ)
なだめても透かしても、ちゅーるでもバスタオルでも、泣き落としでも、置き手紙でも、何をためしても爪を切らせてくれない猫相手の最後の手段として、「やたら切れ味に拘った爪切り」を買ってみるのはひとつの手段かもしれません。
猫が使わせてくれなかった時に絶望しないように、人間も使えるタイプのを選んでおくと気を確かに生きていける。