観てきました『鬼滅の刃 無限列車編』。
意外に楽しかったではないの。
映画館半年ぶりくらいでしたが、久しぶりにいくとまたいっぺんに色々見たくなりますね。
ということで臆面もなくネタバレを。
絵も綺麗だし、疾走する列車それだけでなにかワクワクするもんだし、ストーリーはクリストファー・ノーランの『インセプション』だし。
「おー、なるほどこれは見たことあるぞ!」
というので中年の思考回路にも理解しやすかったのです。
全体としては、ちゃんとした「負け犬の遠吠え」だったところにぐっときました。
かないっこない相手に対峙した時に、地道な努力に対して冷笑的になることはなく、団結して長い道のりを歩こうとする姿勢やら、ひとつ負けたときに正面から傷つく勇気やら。
今の世にあってたしかに我が身を顧みさせられるものがあります。
とはいえ私としては”ヒロイックな死”というものに対するアレルギーが非常に強いので、煉獄さんの最後は、ちょっと引っかかりもしました。
「死にたくないよー、もっと駅弁食べたかったよー」
とぎりぎりの瞬間まで生に執着してくれたらいいのに。
そうでなければ、「老いたり傷ついたりしなければ能力を無限に積み上げることができて、どこまででも強くなれるのだから強いお前は鬼になるべきだ」という鬼の誘いの方が理屈通ってるみたいな感じになりゃしないだろうか。
あの鬼はそもそもだいぶ良いスカウトをしていたし、煉獄さんがイデオロギーのために死んだ、みたいなことになってしまうと、どうも鬼の方に分がありそうな気もしちゃうんだよなあ。
願わくば、人間として生きることが好きだったから人間であることにこだわった人であってほしい。
ちなみに私はスターウォーズサーガを真面目に全部観たタイプの昭和生まれなので、鬼の大将はどうせ主人公の父親だろう、と思い込んでいる節があります。
「アイアムユアファーザー」ってどの辺で言うのかな、と思ったらなんとまだ大将出てこなかった。先は長い。
それから初雪の降る中自転車で映画館まで行った私が気になったこともうひとつ。
あんな雪の中で山菜は取れないぞ、雪国舐めてもらっちゃ困る。
でも結構楽しかったし、友達の子どもなんかと会っても
「鬼滅はどのキャラが好きー?」
とか言って滑り気味コミュニケーションの可能性が開けるのは非常に楽しいことです。
首相だって野党議員だってあんなに滑ってるんだから勇気を出そう。
私は伊之助が好きだよ。馬鹿でかわいい。
煉獄さん、なぜか鬼より断然感情移入しにくい姿形。
目と髪型に圧倒的に共感を阻む何かがあるため、うっかりしてるとつい鬼の方を応援しがち。
『インセプション』が好きな人は結構楽しめるのではないか。
こちらは映画自体は退屈なシーンもずいぶん多かったけど、冷静に思い出すとなかなか魅力的な設定ではあった(ただややこしすぎだ)。