実家から、1962年の札幌市内の小学校の卒業アルバム、というなかなかに貴重な民俗資料が発見された。
サイズの小さなアルバムの中に、まるで誰かが個人で作ったスクラップブックみたいに、チマチマ切り抜いた写真をめいっぱい並べてある。
先生が自分たちで選んで切って貼って印刷に出したのであろうと予想される手作り感がもの珍しい。
個人写真というものもなく、クラスごとに集合写真を撮ったものの隣にオブラートみたいに薄い紙で学童の名前と住所をずらずらと書いた名簿を閉じ込んであるのも初めてみる形式だ。
一人で見ていて思わず妙な声が出たのは遠足のページである。
学年ごとにあんなところやこんなところに行きました、というのをまとめたページなのであろう。
何年生のときにどこへ行ったのかは見てもさっぱりわからないが、それなりに色々行った記録にはなっている。
目が留まったのは、貸し切りバスによる、遠足か修学旅行の道中の写真である。
みんな外に出て、学童たちは道路わきの方に散りぢりになっており、どうやらしゃがんで居る子などもいる。
見出しは「〇〇〇〇〇タイム!!」
どう頭をひねっても、ひとつのことしか思いつかないが、しかしにわかには信じがたい。
昭和37年ってそんな?
わざわざ学校の先生が引率して「さあさあみなさん、そこらへんでするんですよ」と予定に組み込んであるのか。
しかも当然、男女共学である。
何年生かわからないが修学旅行なら6年生だろうし、遠足としたって何時間もバスで行く距離なら高学年に違いあるまい。
監視してる風の先生も見受けられるが、女子たちにとってはどんな具合だったのか。
これを編集した先生と同じくらい屈託なかっただろうとは、さすがに想像できないところではある。
そうかあ、58年前の日本そんな感じであったか。いやあ、うーん。
小さな小さなセピア色の衝撃写真を前にして、ひたすら唸るのみなのだ。