晴天の霹靂

びっくりしました

うなぎのように、それはくる。

九月にしてはずいぶん暑い一週間だったけれど、やっと少し落ち着いて、日が落ちてくると多少しのぎやすくなってきた。

柔らかな毛が密集してるので肌触りが素晴らしい分、とにかく暑がりでもある我が家の黒猫は、日中は家じゅうの涼しいところ、涼しいところをはしごしてまわり、まるきり人間に顔を見せようとしない日もあるくらいだった。

 

それがどうやら、やや涼しくなるとふと自分が一人暮らしではないことを思い出して呼びにくるのだ。

「いいよー、今なら遊んであげるよー」

くらいの澄ました顔をして開け放したドアから、にょろり、と黒光りながら仕事部屋に侵入してくる。

「遊んであげるよー、じゃないし!」「お前の方が忙しい、みたいな演出腹立つし!」

と、一瞬、威厳のためにちょっとだけためらうのだけれど、ありがたいので遊んでもらう。

涼しくなるのも、いいもんだ。

 

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しのび込む黒猫にょろり秋の暮れ