晴天の霹靂

びっくりしました

扇子の修繕 ~そもそもすぐ壊れるものはすぐ直るのではなかったか

去年買った扇子が、2シーズン目にしてすりきれてきた。

毎年ボロボロになるので果たしてどれくらいのお値段のものなら末永く使えるのであろうなど考えて買ったのだ。

高い部類ではないが、国内の専門店で手作りされているものだ。

それでも紙はたやすく破れるの。

「こうなると、ずっと使える扇子に出会うにはいかほど出さねばならぬのであろうか」

と思いつついじましく見つめていたら気がついた。

 

そもそも、これはなぜ紙でできているのか。

障子でもふすまでも、なんでもそうだ。

張り替えて、直して使うために紙なのではあるまいかっ!

 

まだ要も骨も糊付けもびくともしていない。

蛇腹の山折り谷折りの部分の紙の擦り切れと、こすれやすい上辺が頼りなくなってきているだけなのである。

古い日本の映画なんかで破れ障子に紅葉の色紙を切って貼り付けてある様子などを思い出して、紙には紙かと、マスキングテープを貼ることにした。

貼ったら元の蛇腹通りにしっかり折り目を付ければ、擦り切れたところは復活。

口に出すのもはばかられるほど安直な修繕だ。

 

くたっとしていたところが補強されるわけだから、シャキッとよみがえって送風もパワーアップして感じられる。

見ればあからさまに「ここ直しました」と分かるくらい不器用なうえに、色合いもなにあらばこそ間に合わせで手元にあったものを貼っただけの仕上がりであるが、使う側にとってはその「直しによって一点ものに進化した感じ」はかえってうれしい。

 

毎夏どこか擦り切れるごとに好きな柄のマスキングテープを買い集めながら修繕とデザインを兼ねて直していけば、最終的にはすごく大事な一本が出来上がってしまうのではないか。

そんなことを思いついてうれしくなった、土用入り。

扇子の寿命ってどれくらいなんだろう。

 

 

 

 カモ井のただ白いマスキングテープを貼ったのだけど地の模様を邪魔しなくて意外に良かった。

修繕部分が増えてきたら色や柄を変えると楽しそうな気がする。

 

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古扇はっけよいやの猫来たる