新型コロナウイルスというのはどうしてこんなにピンとこないのか。
人類たるものずーっと昔からウイルスとの闘いの歴史はあるはずなのに、今回なぜ「ようは肺炎」で、世界中の都市がこんなに徒手空拳で右往左往してるように見えるのか。
どの国もそれぞれもっとヤバいやつと戦ってきた感染症研究の歴史があり、正解に向かって一直線に進む対策のスキームを持ってる専門家もたくさんいるはずなんじゃないのか。
感染力もあまり強くなくて接触感染と飛沫感染が主だという話と、都市封鎖をして街ごと消毒しているニュース映像との間にはだいぶ飛躍がありはしないか。
正直な話、あんな映像こんな映像を見ても、自分は全然死ぬ気がしないということまでなんかちょっと後ろめたい。
そんな「?」が募る日々の中、NHK BS1スペシャルの特集が相当に面白かったです。
(3月19日放送なのでこの時点より局面は進んでしまっておりますが。)
人類が過去の経験に基づいて警戒してきたのは強い毒性を持つウイルスだったこと。
しかし今回の新型コロナウイルスは、ほとんど症状が出ない人が大半という裾野の広さこそが難しいのだいうこと。
潜伏期間が長く重症化も少ないからこそクラスタを可視化してコントロール下に置くことがきわめて困難と言う、過去の経験とはまったく別の危機に直面してるのだということ。
感染力が弱く、重症化率が高いわけでもないのに脅威、なのではなく
感染力が弱く、重症化率が特別高いわけでもないのが脅威、だったのか
ということをやっと理解できた次第。
今まで一番不思議だったこの点を詳しく解説している情報ってほとんど見かけなかったような気がするぞ、と思ってだいぶ感心したのでした。
今回の件でずいぶん再読されているらしいし、私もとても好きな作品なのだけど、
「発症したら数日以内に血まみれになって確実に死ぬ」という感染症を読んでしまうと、現実のパンデミックのピンとこなさ加減とのギャップにそれなりに悩まされる。