晴天の霹靂

びっくりしました

あの頃はSNSもなかったのに。

ニュースなどでトイレットペーパー買い占めによる品れが起こってるだなんていう話を耳にしますが、ここ数日近所で見ている分では特に気付きませんでした。

私がぼんやりしてるだけか、なんらかの地域格差があるのか。

 

社会科の教科書に「オイルショックでトイレットペーパーを買いに殺到する人たち」というというキャプションつきの写真が掲載されていたのを思い出します。

あの写真、私はとても好きでした。

たぶん教科書に載っている写真にしてはずいぶんと「庶民の風俗」に肉薄した写真だから、だと思います。

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1973年11月2日 トイレットペーパー騒動 :日本経済新聞

 

およそ地味ないでたちをした互いによく似た雰囲気の「専業主婦」たちが、なりふり構わずトイレットペーパーに手を伸ばす、傍らに「トイレットペーパー品薄」という旨の手書きの張り紙。

今より「他人より若く美しくあらねばならぬ」というプレッシャーは少なかったのだな、とか

「カメラを向けられている中で個人として見栄を張るより、家族を守ることの方がずっと高い倫理規範だったのだな」とか、

女性の生活についてしみじみ考えさせられることの多い、面白い写真でした。

いま同じように紙不足の噂が立ったとしてもああいう風に人間性むき出しの感じがする報道写真はもう出てこないのではあるまいか。

 

それはそれとして。あまりにもSNS慣れした現代から振り返るに、あの騒動がSNSも転売屋もなしで成し遂げられたことに関して「……すごいことじゃない?」とうっかり感心するくらい、フェイク慣れしてしまってることにも気づかざるを得ないのではあります。