Amazonプライムビデオにメル・ギブソンの『ハムレット』が入っていたので鑑賞しました。
『ハムレット』って字面で脚本だけ読んでいると、「この人、なんでこんなに女嫌いなんだろう、辛気臭っ……」と思ってだいたい途中で放り出すんですが、顔ってエライもので、メルギブを見てると
「なるほど、女が嫌いそうだっ!」
という猛烈な説得力が出ますね。
わけのわからない思い込みが強そうだなとは思うものの辛気臭いなと思うことは一切なく、怒涛の勢いで見ていられて楽しかったです。
やっぱりたいして読み慣れてない者にとっては戯曲は読むものである以前に見るものでありますね。
オフィーリアがヘレナ・ボナム・カーターなんです。とても好きな女優さんなので、たいへんに幼い、あどけないくらいの顔で出てることにも大変なテンションが上がりまして、「あーあ、オフィーリアもうちょっと生きててくれないかなあ」と切ない感じがする。これぞ正しい『ハムレット』の見方ではあるまいか。
顔付きが幼く見えるので、親とハムレットと国王の思惑で板挟みになった可哀そうな娘にも見えるんですが、なんせ目がキラッキラ光ってて賢そうによく動く人ですから、全部わかってて自分なりの策略で動いてるようにも見え、この「真意の読み切れない感じ」というのももうちょっと見ていたい気にさせられます。
そんな気持ちやこんな気持ちを残しつつ、たった二時間で人生を駆け抜けるメルギブレット、一気呵成に全員死亡、ハイ終わり。という大変な勢いで、みんな死んでるシーンでこんなこと言うのもなんですがたいへんな爽快感というか、打ち上げ花火みたような感じがありますね。タランティーノ映画かよ。
あれっ、そうか、こんな話だったか。へーえ、面白かったなあ。と思いました。
『ハムレット』にはQ1という短縮版みたいなバージョンがあるんですね。
知らずに「Q1」って何のことだろう?と思いながら読んでたら、これまたすごい勢いで速やかに全員死んだので、「あれ、終わり?何か読み飛ばしたかな?」と思って何ページか確認のために戻ったりしちゃいました。
たぶんいろんな楽しみ方がある戯曲なんだと思いますが、この「死に向かって一目散にひた走る」短距離走タイプのハムレット、楽しかったです。このスピード感の中にこそハムレットがいる、って思ってみたりして。
見慣れてくると長ゼリフをぶつくさ言ってるハムレットも面白くなってくるものでしょうか。