晴天の霹靂

びっくりしました

街を横切る歳末の妖精たち

冬休みに入ってから、とにかくどこの路上にも子どもがいる、と思っていたのですが、今年もあと二日と押し迫ってきたここにきて、往来をうろうろする大人の数が増えました。しかも、どういうわけか男性、もうちょっと言うと初老の男性がやたらと歩いているようにお見受けいたします。

「さて、どうして街がいきなりおじいちゃんだらけになったのか」

と思えば、もしかすると家で掃除やら料理やら大わらわになってる奥さんからお使いに出されてしまうのでしょうか。

 

 

もう年の瀬だというのに雪でなくて雨がふるという妙な気候の中、しっとり濡れたおじいさんは迫りくる車の流れに向かって「こりゃ失敬」といった感じに片手を上げて軽快に挨拶しながら、モータリゼーション社会を好きな角度で切り込んで彼岸へと渡ってきます。

車内では「いやいや、『こりゃ失敬』じゃないだろっ!」と思ってるには違いないのですが、こなれた態度に虚を突かれるのか不思議なほどクラクションなど鳴らない。どこがどうというのではないのだけど、こういう小さい風景が年末年始の独特の雰囲気を作り上げているような気がします。

 

今日のところは、昨日売り切れていた黒豆とはんぺんとかまぼこを買ってきて、豆を水にひたし、チャーシューを煮て味を染ませるところまで。やたらと面倒くさいうま煮は明日。

毎年出来上がった総量を見て「こんなにあってもあまるだろ」と思うのですが、年が明けると「どちらかというと足りなかったな」とぼんやり思っており、つまるところ人間って自分で思ってるよりはるかに量を食べている、ということを目視できる日です。

自分の中でのクライマックスは卵焼き器で焼いた伊達巻きの断面が、まるで伊達巻みたいにちゃんとできあがったことを確認する瞬間、おそらく明日の夕方あたりです。

 

残り一日と少し。