晴天の霹靂

びっくりしました

2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

『自転車日記』 ~付着せる漱石

kindle unlimitedで年代順に全部読めてしまううえにどれも面白いので、近頃は夏目漱石ばかり色々読んでいる。 子どもがお気に入りの絵本を持つように、決まった場所でアハハハと笑いたくてついつい繰り返して読むのが随筆『自転車日記』である。 英国留学時…

猫の降る夜

いつも通り寝る前に本を読んでいた。 扇風機の音だけがパタパタ聞こえる中、漱石か何か気楽に読んでいたのだ。 開け放った窓の外に、ちょっとだけ熱の冷めた北国の夏の夜らしい気配が確実にある、静かな良い夜だ。 突然、本の向こう、部屋の真ん中に黒猫の像…

青ぽさぽさの夏の花

青紫でポサポサとした、花だか穂だかよくわからない変わった花を買ったのは、形が猫じゃらしに似ていると思ったからだ。 買って帰ってみると、がっしり太い茎には松のような細い葉がびっしりついていた。 水に浸かると傷んでしまうだろうからと全部取って活…

地図にはない神社

偶然、地図に載っていない小さな神社を見つけたので、ついのことでちょっと参拝してきた。 ひっそりと短い参道もかわいらしい、小さいなりに大切にされてきた感じのある場所だ。 お堂の脇の木陰には、これまた小ぶりな馬頭観音の碑がある。 北海道の神社は開…

夏目漱石『門』~もちろん、寝ると瞑想にならない

少し前に読んだ瞑想の入門書で、「瞑想中にどうしても眠くてつらいときは姿勢をただして横になって瞑想してもかまわない」と書いてあったのだ。 夏の暑さになんとなく払いきれない眠気が付きまとう炎昼、 「そういえばどこぞの高僧が、横になってもできるっ…

今あれを飲んだの。あんまり綺麗だったから。

さすがの北海道もずいぶん暑いなあと思っていたら土用入りしており、今年も巷がうなぎまみれである。 焼き冷ましでもこんなにするのかな、くらいの高級蒲焼きに伍して立派にも場所を占めている穴子は四半分くらいの値段。 やけにおいしそうに見えたので穴子…

2020年上半期読んで面白かった本

今週のお題「2020年上半期」 今年はメモと通し番号をつけながら読書をしているので比較的多く、現時点で110冊だった。 電子書籍ゆえ、短編ひとつで一冊の扱いになっていたり、あるいはコミックスも入っているので、相当にインチキめいたところがあるものの、…

扇子の修繕 ~そもそもすぐ壊れるものはすぐ直るのではなかったか

去年買った扇子が、2シーズン目にしてすりきれてきた。 毎年ボロボロになるので果たしてどれくらいのお値段のものなら末永く使えるのであろうなど考えて買ったのだ。 高い部類ではないが、国内の専門店で手作りされているものだ。 それでも紙はたやすく破れ…

花の名前備忘録 ~だいたい575くらいのアナグラム

結構前に読んだ俳句の本です。 調べたら2017年に買ってました。 他流試合――俳句入門真剣勝負! (講談社+α文庫) 作者:金子 兜太,いとう せいこう 発売日: 2017/02/21 メディア: 文庫 その時何を思って買ったのだったかまったく思い出せないのですが、読んでい…

近頃、瞑想中に眠くなる問題 ~上を向いて座ろう

だいたい毎日瞑想をする日々、やればやるほど面白いと思っていたところではありますが、事ここに至って思いがけない問題が勃発しました。 瞑想中眠い。 身体がぐらぐら揺れるくらい急激に眠い。 眠気がはじまったのが猫を看取ったころだったので、単純に寝不…

話聞く猫聞かぬ猫 ~狭い野原にりんどうのつぼみ

「ねえ、まあちゃん」 と、名前を呼んでも我が家の黒猫は知らん顔をする。 「ちょっとお」 と、こちらから出向いていって背中をちょいちょいとつつくとやっと、くにゃっと半身をひねって振り向く。 「無視しないでよ」 人間としてはいささか威厳のない苦情を…

『吾輩は猫である』 ~君は一人でも楽しく暮らしていたか

こんなにも広く人気者でもあり、また、神経を病んだ一文学者の心を癒して大文豪へ変身を遂げさせたほどの功績ある猫を水瓶の中なぞで死なせたのは一体何のためか、と読むたびに思ってしまう。 吾輩は猫である (角川文庫) 作者:夏目 漱石 発売日: 1962/09/13 …

我が家にもコショウが入りました ~IKEDAペパーミル

落語が好きで、寝るときなどに時々聞くのだけど 「いつ聞いてもサゲがよくわからないねえ」 と思うものの一つに『棒鱈』という噺がある。 流れから考えても終わるキッカケ程度のサゲのようだし、話す方も「ここは通じなくても構わない」と思ってしゃべってる…

花事典~その花の名前を啄木は知っていたのか

近頃、絶やさないように花を買っている。 きっかけは猫が亡くなったことだ。 ずいぶん久しぶりに花を買ったら、思いのほか明るい気分になるもので、ありあわせのグラスなどに不器用に活けるのも、毎朝傷んだところ摘んで綺麗に見えるように整えるのも楽しい…

『ネコメンタリー「ますむらひろしとモンとハテナとコマ」』~わたしはひとりのザネリなのだ

一週間ほど前に我が家の猫を看取ったときに読んでいたのがますむらひろしの『銀河鉄道の夜』だった。 それは、本当に銀河鉄道に乗ったような不思議な夜だった。 銀河鉄道の夜 (ますむら・ひろし賢治シリーズ) (扶桑社コミックス) 作者:ますむら ひろし 発売…

君を待つ背中に向日葵の香り

顔を見るたびに猫がニャアと鳴く。 猫のことなれば、ニャアと鳴くこと自体に文句があるじゃないが、要するに彼女の主張しているのは「退屈であるから遊べ」ということであり、 気持ちは重々承知だが、こちらとしてもまさか一日中付き合うわけにもいかないの…

アリョンカビスケット97円

ロシアに行くと「アリョンカ」というチョコレートがよく売っている。 別に美味いともまずいとも思わない普通のチョコレートだが、パッケージの少女を見つめると目をそらしにくい仕組みにはなっており、しばしばロシア土産として頂戴した折にはその表情によっ…

久米宏の形態変化に驚いた。

ラジオが好きで、radikoのプレミアム料金385円を払ってエリアフリーやらタイムフリーやら多用して情報を取っています。 radiko.jp 報道番組などは地方と比べて解説陣やパーソナリティが充実してることが多いので東京のエリア放送を普段からよく聞いています…

君とふたりで眠り猫。

黒猫がクローゼットから出てこない。 もともとフリーダムな性格で、こだわりなく行きたいところに行っては芝刈り機みたいにゴロゴロとリラックスをアピールする恐れを知らぬ存在として暮らしていたものを、 ある瞬間に家に病と死の気配が持ち込まれときから…

『鬼灯の冷徹』~傾向分析と早めの対策に

私の立てた作戦は、ロードマップの把握と早めの根回しである。 落ちる方も送る方も、忙しいのだ。 鬼灯の冷徹(1) (モーニングコミックス) 作者:江口夏実 発売日: 2012/09/28 メディア: Kindle版 人間は死後四十九日で行く先が決定するが「猫ちゃんはもう…

鰹節を袋ごと抱えてたべるのが夢

手の平に容易に乗るサイズで我が家にやってきた生後二か月の子猫を、 「やれ食が細った、やれちょっと太り気味、やれ鰹節が好物だが腎臓に悪かないか」 などとあれこれと神経をとがらせて600グラムの毛玉から五年と十か月かけて五キロまで大きくしたのだ。 …